渋谷オンブズマンは2月4日に渋谷区サービス公社がシブヤ大学への平成18年4月1日から平成22年3月31日までの五年間の違法転貸についての第二次訴訟を提起した。
一昨年と昨年9月の渋谷区議会ではメンバーでもある堀切議員が桑原としたけ区長及び部長へ本件のシブヤ大学の返済について質問もしていた。そもそも株主であり、部長級を6人も渋谷サービス公社へ送り込んでいる渋谷区が依然約800万円もの返済を同公社を通し促がしもせず、シブヤ大学へ怠っている事実は渋谷サービス公社の区民サービス低下を招く重大なことでもある。
同時に渋谷オンブズマンとしては昨年9月にはシブヤ大学が渋谷サービス公社へ平成24年第一次訴訟終結後の返済状況について、情報公開請求にて無返済であることを確認していた。そこで昨年11月25日に渋谷区監査事務局へ渋谷サービス公社の株主である渋谷区がシブヤ大学への返済を放置している件について住民監査請求を起こした。そこで驚く事に渋谷区から住民監査請求結果の出る直前の本年1月19日に訴訟終結後二年ぶりにシブヤ大学は30万円のみを渋谷サービス公社へ返還してきた。
まだ渋谷サービス公社には700万円弱が返還されない。区民の行政サービスはこの分削られた
まま運営がされることとなる。
渋谷オンブズマンは本件のような政官業間での利益供与の末、区民への負担を押し付ける渋谷区の不正とは断固戦うことを申し述べておく。
訴 状
平成26年1月31日
東京地方裁判所行政部 御中
原告訴訟代理人弁護士 本 間 久 雄
〒151−0072 東京都渋谷区幡ヶ谷2−45−3−3F
原 告 堀 切 稔 仁
〒231−0006 神奈川県横浜市中区南仲通一丁目6番
関内NSビル2階
横浜関内法律事務所(送達場所)
電 話 045−212−1233
FAX 045−212−2233
原告訴訟代理人弁護士 本 間 久 雄
〒150−8010 東京都渋谷区宇田川町1−1−
被 告 渋谷区長桑原敏武
住民訴訟(3号請求)事件
訴訟物の価額 160万円
貼用印紙代 1万3000円
請求の趣旨
1 被告が、肥後慶幸に対し、責任追及等の訴えを提起しないことが違法であることを確認する。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
請求の原因
第1 当事者等
1 原告は、渋谷区民である。
2 桑原敏武は、現在の渋谷区長である。
3 肥後慶幸は、後述の平成22年5月29日から、平成24年3月31日まで、株式会社渋谷サービス公社(以下、「渋谷サービス公社」という。)の代表取締役の地位にあった者である。
第2 本件監査請求に至る経緯
1 株式会社渋谷サービス公社(以下、「渋谷サービス公社」という。)は、渋谷区から、行政財産使用許可を取得して、東京都渋谷区宇田川町5番2号所在の渋谷区神南分庁舎2階を使用していた(なお、本請求に係る行政財産使用許可番号は、平成20年3月19日付清掃リサイクル許可第2号、平成21年3月19日付清掃リサイクル許可第2号、平成22年3月17日付環境保全許可第2号)。
2 渋谷区サービス公社が、渋谷区神南分庁舎2階を使用するにあたっての、許可条件の中に、転貸禁止(「使用者は、使用財産を他の者に転貸してはならない。」)の条件が盛り込まれていた。
3 しかるに、渋谷区サービス公社は、転貸禁止の条件に違反し、平成20年5月29日以降、特定非営利活動法人シブヤ大学(以下、「シブヤ大学」という。)に対し、渋谷区神南分庁舎2階を事務所として、シブヤ大学に使用させた。そのため、渋谷サービス公社は、転貸禁止条件に違反したことにより、渋谷区に対し、平成22年12月8日、シブヤ大学使用部分に係る平成18年4月1日から平成22年3月19日付清掃リサイクル許可第2号の試用期間終了時である平成22年3月31日までの行政財産使用料相当額(合計847万4108円)並びにこれに対する平成22年12月8日までの間の年5分の割合による遅延損害金相当額(合計120万5887円)合計967万9995円の支払を行った。なお、後に、サービス公社は、渋谷区より、当該室の明渡完了日(平成23年1月末日)から平成23年3月31日までの2ヵ月分の行政財産使用料相当額(27万6336円)の還付を受けた。また、シブヤ大学は、本件に関し、サービス公社に対し、平成24年1月25日、「行政財産使用料第1回請求分」として、83万8913円を、平成24年9月28日には、40万7559円を支払った。
4 原告は、平成23年12月に渋谷区長が、肥後慶幸に対して、責任追及の訴えを提起して渋谷区が被った損害を回復させないのは違法であると住民訴訟を提起した。しかしながら、平成24年8月30日、東京地裁は、訴えの適法性は認めたものの、「渋谷サービス公社は、シブヤ大学から分割払いにより本件損害賠償金に相当する金額の第1回分を回収している上、その後回収努力をしなくなったという事情もみとめられない」ことを重視して、監査請求人らの請求を棄却した(甲1号証)。監査請求人は、東京高裁に控訴したものの、控訴審も第1審を支持し、平成24年12月25日、監査請求人の控訴を棄却した。
5 控訴審判決後、シブヤ大学は、渋谷サービス公社に対し、全く弁済を行っていないことが判明した。そのため、東京地裁判決のいうところの「その後回収努力をしなくなったという事情」が見受けられないため、原告は、肥後慶幸によって渋谷区が被った損害(渋谷区が保有する株式の財産価値の毀損)の回復を求めて、本件住民訴訟に及んだ次第である。
なお、シブヤ大学は、渋谷サービス公社に対し、平成26年1月14日に30万円を支払っているものの、その支払は原告が平成25年11月26日に行った本件の住民監査請求を受けた上でのことであり、原告が住民監査請求を行わなければ支払われなかったものである。
第3 株主代表訴訟を提起すべきこと
1 渋谷サービス公社が、転貸禁止の条件に反し、シブヤ大学に渋谷区神南分庁舎2階を貸し付けたことにより、渋谷サービス公社は、785万7187円(967万9995円−27万6336円−83万8913円−40万7559円−30万円)の損害を被った。
転貸禁止の条件は、行政財産使用許可書に明記されている以上、それに違反して、転貸を行うことは、取締役の善管注意義務違反(会社法330条・民法644条)、忠実義務違反(会社法335条)となる。
2 渋谷区は、渋谷サービス公社の株主であり、渋谷区サービス公社代表取締役肥後慶幸の善管注意義務違反、忠実義務違反によって、現在のところ、渋谷区の有する渋谷サービス公社の株式価値が、785万7187円分毀損されている(遅延損害金を勘案するとそれ以上の金額となる。)。
3 渋谷区長は、渋谷区の財産管理について、善管注意義務を負っており(地方自治法138条の2「普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。」)、渋谷区の被った損害(785万7187円)を回復するために、肥後慶幸に対し、責任追及の訴え(会社法847条1項、株主代表訴訟)を提起し、渋谷サービス公社に785万7187円を返還させなければならない(遅延損害金を勘案するとそれ以上の金額となる。)。
第4 監査請求前置
原告は、平成25年11月26日付で渋谷区監査委員に対し、地方自治法242条1項に基づき、渋谷区長が、肥後慶幸に対し、責任追及等の訴えを行うことを求める住民監査請求を行ったが、渋谷区監査委員は、平成26年1月24日付でこれを却下した(甲2号証)。
第5 結語
以上の次第であるから、請求の趣旨記載のとおりの判決を求める
theme : 政治・経済・時事問題
genre : 政治・経済