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【ホライゾン学園】控訴審準備書面を提出

渋谷区が渋谷区立神宮前小学校の一部を、学校法人ホライゾン学園及びNPO法人国際交流学級に無償貸与して、神宮前国際交流学級と称する私立インターナショナルスクールを開設させている事件に関する住民訴訟は、一審では原告側主張は棄却されたが、特に無償貸与の部分の違法性を争い控訴した。
以下は、控訴審の準備書面である。


平成25年10月8日

東京高等裁判所第8民事部 御中

控訴人ら訴訟代理人弁護士 本  間  久  雄


第1 公共施設使用料免除が争点となった裁判例の傾向
1 はじめに
 本件は、渋谷区教育委員会が、ホライゾン学園等に対してなした行政財産の使用料を免除することの違法性が控訴審における最大かつ唯一の争点となっている。
本章においては、本件のように行政財産の使用料免除の違法性が争われた裁判例を紹介していく。
2 千葉地裁昭和63年10月31日判決
 千葉地裁昭和63年10月31日判決(行集41巻9号1557ページ、判例地方自治55号26ページ)は、元町長の町民葬を執行した葬儀委員会に対し、式場である公民館の使用料を免除したことが争われた事例であるが、使用料免除の違法性の有無について、以下のような規範を定立している。
 「右条例5条1項によると、公民館の使用料の減額(5割)基準として、町の機関以外の官公署が使用する場合及び教育又は社会福祉に関する団体が、その目的を達成するために使用する場合が、またその免除基準として、町(町の機関を含む)、国又は公共団体が公務上使用するときが、それぞれ例示されており、同条2項において、「前項に規定する場合のほか、特に町長が認めたときは、使用料を減免することができる。」とされている。
 右規定の趣旨に照らすと、同条2項により町長が使用料を免除することができる場合には、町や国その他の公共団体が自らその事務を執行するために使用する場合に準ずるような公益性の高い場合を含むものと解するのが相当である。」
3 神戸地裁平成12年2月29日判決
 神戸地裁平成12年2月29日判決(判例地方自治207号72ページ)は、神社の祭礼実行委員会による学校施設の使用料を免除したことが争われた事例であるが、使用料免除の違法性の有無について、特に規範定立をすることなく、当該使用料免除が、「公益のために使用する場合」に該当しないので違法であると結論づけている。
4 名古屋高裁平成17年4月13日判決
 名古屋高裁平成17年4月13日判決(判例タイムズ1223号170ページ)は、三重県の南勢町の住民である原告が、南勢町長において、南勢町文化協会等が南勢町町民文化会館で主催したチャリティーショーの使用料とその準備のための使用料、体育協会及び遺族会等がその活動のために本件会館を使用した際の使用料を、南勢町における南勢町町民文化会館の設置及び管理に関する条例に定める「特別な事由」がある場合に該当するとして、いずれも免除したことの違法性が問題となった事案である。同判決は、使用料免除の違法性の有無について、以下のような規範を定立している。
 「この「特別な事由」の意義は、本件会館は行政財産であること、及び同会館の設置目的が、町民の文化、教養の向上及び福祉の増進を図り、住みよい地域社会を形成することにある(本件条例2条)ことを考慮すると、当該事業ないし催しに対する南勢町の関わり合いの程度、当該事業ないし催しの主催者の性格及び主催者と南勢町の関わり合いの程度、当該事業ないし催しの目的・内容、当該事業ないし催しにつき主催者が使用料免除を受ける必要性の程度等の事情を総合考慮し、公益性の観点から使用料を免除する必要性ないし相当性が特に高いと認められる場合を意味すると解される。」
5 小括
 このように、公共施設使用料免除が争点となった裁判例において、使用料免除をなすにあたっては、高い必要性・相当性・公益性が必要であると判示されている。

第2 原判決は、従前の裁判例の傾向に真正面から反していること
1 第1で述べたとおり、公共施設使用料免除が争点となった裁判例において、使用料免除をなすにあたっては、高い必要性・相当性・公益性を要求されると判示されている。
 しかしながら、原判決は、本件各免除の違法性の判断基準について、「(本件各免除の)裁量判断の当否に関する司法審査については、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の範囲の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものである。」とし、「特に必要があると認めるとき」の該当性判断にあたって、政策目的も加味することも許される(原判決70ページ)と極めて緩やかな判断基準を定立している。
 「盗人にも三分の理」という諺があるが、どのように非常識で社会通念を欠く行為であれ、それなりに理屈をつけようと思えばつけられる。一見してえこひいきにしか見えず、合理性の見受けられない使用料免除であったとしても、後付けで、免除の必要性や公益性を修飾することができる。原判決のいう「社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合」に該当する使用料免除は、およそ考えられない。原判決の判断基準は、実質的に使用料免除の違法性を住民訴訟で争う途を閉ざしているに等しい。
2 かかる判断基準は、渋谷区行政財産使用料条例5条3号の文言から明らかに乖離している(控訴理由書2ページ)上、使用料免除をなすにあたって、高い必要性・相当性・公益性が必要であるとした従前の裁判例の傾向にも真正面から反している。
 首長等が、公の施設の設置及びその管理に関する条例中の使用料免除規定に基づき、公共施設の使用料の支払いを免除ないし減額することはそれほど希ではないと考えられるが、使用料免除の違法性が争われた裁判例は、第1で言及した程度である(判例タイムズ1223号171ページ参照)。
 万一、使用料免除を幅広く認めることにつながりかねない原審判決が確定し、数少ない公共施設使用料免除に関する先例となるような事態になると、地方公共団体に使用料免除を濫発させ、ひいては、様々な弊害(地方公共団体の幹部と親しい関係にある者・団体に対して、情実で使用料を免除する等)を発生させることにつながりかねない。

第3 本件各使用料免除に高い必要性・相当性・公益性は存しないこと
1 原判決は、ア使用の目的及び態様、イ使用の日時、場所及び使用者の範囲並びに本件各使用許可による弊害の有無等、ウ本件各使用許可による影響等、エ代替施設確保の困難性等の本件各使用許可の必要性等、オ本件各免除の財務的側面からの適否を検討して、本件各使用料免除に違法性は認められないと結論づけている。
 しかしながら、原判決が掲げるイないしエの事情は、本件各施設を国際港リュ学級以外のインターナショナルスクールが借りていたとしても全く同様の事情であるといえよう。
2 原判決の掲げるアの事情についても、原判決は、「本件各使用許可の目的は、在日トルコ人子弟を中心とした児童に初等教育を授けるとともに、本件小学校に通学する日本人児童やその家族等との日常的な交流を通じて、被告区と本件都市協定により友好関係にあるトルコとの国際交流を促進することにあるといえる。」(原判決84ページ)としているが、被控訴人区には、トルコ人に限らず、数多くの外国人が居住ないし就労していることは、周知の事実であるし、被控訴人区内の在外公館は、23箇所もあり(被控訴人区ホームページ)、あえてトルコ及びトルコ人子弟のみを優遇して初等教育を施す必要性は高くないし、他の外国人から見ると、かかる被控訴人区の対応は、トルコ人のみを強く優遇する差別であるとも受け止められかねない。
 原判決85ページが指摘しているとおり、国際交流学級は、英語教育が行われていて、そのカリキュラムもインターナショナルスクールであるホライゾン学園のカリキュラムとほぼ同一である(このことと、国際交流学級に、トルコ人以外の子弟も多数在籍している(乙59号証、乙66号証、証人ケナン)ことを踏まえると、国際交流学級は、取り立てて顕著な特色の無いインターナショナルスクールであるといえよう。)。
 被控訴人らの主張するように公立学校において国際交流の必要性が認められるとしても、公立学校の空き教室を使用料の支払えないような財務基盤の脆弱な国際交流学級(しかも、前述のように、その教育内容は、他のインターナショナルスクールと大差の無いものである。)に貸与する必要はなく、財務状況が健全なインターナショナルスクールに貸与すべきである。原判決は、国際交流学級の財務状況について、「国際交流学級を運営するホライゾン学園等の財務状況を見ても、近年債務超過額の減少が見られるとはいえ、授業料収入と寄付金を借入金の返済に充ててようやくバランスをとっていて、債務超過や収支構造に改善が見られない財務状況」であると判示している(原判決89ページ)が、かような財務状況ならば、学級の運営に重大な支障が及ぶことは容易に想起でき、教育の質の低下やひいては学級の閉鎖という子供の教育にとって最悪の事態まで起こりかねない。このような国際交流学級に他のインターナショナルスクールを差し置いて、神宮前小学校の空き教室を無償で貸与する必要は全くない(したがって、原判決89ページのオの検討内容は、全く理由になっていない。)。
 神宮前小学校は、表参道という東京の中でもトップクラスの一等地に所在している。それにも関わらず、被控訴人らは、国際交流学級に対し、無償で神宮前小学校の空き教室を貸与しているのである。
 被控訴人らが、国際交流学級に神宮前小学校の空き教室を貸与するに至った動機は、トルコ大使が、桑原区長にホライゾン学園を紹介したという一点に尽きる。上記紹介は、トルコ国の正式な紹介ではなく(このことは、調査嘱託結果からも明らかである。)、あくまでトルコ大使の私的な紹介に過ぎない。区民への説明責任という観点や、地方自治法2条14項(最小の経費で最大の効果を挙げる)の趣旨からいって、本来ならば、諮問委員会を立ち上げるなどして、候補となるべきインターナショナルスクールの教育内容・財務状況等を審査して、空き教室を貸与すべきインターナショナルスクールを決定すべきであった。
 トルコ大使に紹介されたからといって、一インターナショナルスクールにいきなり空き教室を貸与を決定し(しかも、ホライゾン学園の財務状況が悪いことを被控訴人らが認識したのは、平成18年12月11日のホライゾン学園に対する貸与決定後であった(乙4号証、乙73号証、乙57号証)。)、さらには、使用料を免除してしまう被控訴人らの行為は、独断専行と評すべきものである。
3 以上のように、本件各使用料免除に高い必要性・相当性・公益性は存しない。そして、このことについて、原判決も自認しており、原判決は、「我が国においては、外国人児童といえども、義務教育については、公立学校で受け入れがされていて、本件小学校で在日トルコ人子弟を受け入れて教育サービスを提供することも十分可能であることからすると、在日トルコ人子弟のみを優遇することにいささか疑問がないではない。」(原判決86ページ)、「トルコ人以外の外国人子弟を就学させている点についても、…他の外国人児童が児童総数の過半数を超えるなど、在日トルコ人子弟を中心とした児童に初等教育を授ける施設を提供するという本来の目的が全く失われ、他の合理的理由も見いだせないといった事態とならない限り、不当・不合理とはいえない。(※控訴人ら注:逆をいえば、そのような事態となった場合、不当・不合理になる。)」(原判決87ページ)、「国際交流学級の児童の中に占める在日トルコ人子弟の比率の減少傾向、収支の改善状況等に鑑みれば、被告区(本件委員会)においては、営利活動としてのインターナショナルスクールのために公有の教育財産(行政財産)である本件小学校の施設を無償で使用許可しているとの疑念を区民に抱かれないように、不断に、その活動、運営実態、収支状況等を把握し、使用料免除の許否等を検討していく必要があるものと考えられる。」(原判決96ページ)などと判示している。

第4 結語
1 本件各使用料免除に高い必要性・相当性・公益性は存しない。このことは、原判決が、本件各使用許可の目的について、「被告区の国際交流事業を促進・発展させるという目的には、被告区の実情に鑑み国際儀礼の観点も含めて考えれば、一定の公共性、公益性が認められるとする判断も一概に否定することはできない。」(原判決87ページ)という婉曲的な表現にとどめていることからも明らかである。
2 公共施設の使用料免除の違法性について、政策目的も加味した上で、「社会通念に照らし著しく妥当性を欠く」場合にしか違法性が認められないとする原判決の判断は、条例の文言(「特に必要があると認めるとき」)から余りにかけ離れている上、従前の使用料免除に関する住民訴訟の裁判例の傾向からもかけ離れている。
 したがって、原判決の判断には重大な瑕疵があり、破棄は免れず、控訴審に置かれては、直ちに控訴の趣旨のとおりの判決を下されたい。

以 上
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【ホライゾン学園】神宮前国際交流学級(ホライゾン学園)事件住民訴訟は控訴!

東京地裁で請求が却下及び棄却された神宮前国際交流学級(ホライゾン学園)事件住民訴訟は、原告側(渋谷オンブズマン)は判決の一部を不服として控訴した。以下、控訴理由書である。

控 訴 理 由 書

平成25年10月8日

東京高等裁判所第8民事部C係 御中

控訴人ら訴訟代理人弁護士 本  間  久  雄

 頭書事件につき、控訴人らの控訴理由は以下のとおりである。

第1 はじめに
1 原審における本件の争点は、原判決16ページのとおりであるが、控訴審においては、控訴人らは、本案前の争点については、原判決の判断を受け入れ、渋谷区教育委員会が、平成19年度ないし平成23年度にかけてホライゾン学園等に対してなした行政財産の使用料を免除する旨の処分(以下、「本件各免除」という。)について専ら争っていくこととする。

第2 原判決の判断の不当性
1 本件各免除の違法性の判断基準について、原判決は、「(本件各免除の)裁量判断の当否に関する司法審査については、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の範囲の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものである。」(原判決70ページ)と極めて緩やかな裁量審査基準を定立している。
2 しかしながら、本件各免除の根拠となる渋谷区行政財産使用料条例5条3号は、「前各号のほか、特に必要があると認めるとき」に使用料免除が可能としているところ、同条例同条1号は、「国または地方公共団体その他公共団体において、公用または公共用に供するため使用するとき」と定め、同条例同条2号は、「既に貸し付けられた行政財産が、地震、水災、火災等の災害のため、当該財産の使用目的に供し難いと認めるとき」と定められている。1号、2号の条文を受けて、同条例同条3号は、「前各号のほか、特に必要があると認めるとき」に使用料免除が可能となるとしていること、同条例同条柱書に免除だけでなく使用料減免も規定していることに鑑みると、同条例同条3号で免除が可能となるのは、1号に対応して、被免除者の行う事業が国または公共団体が行う公用と比肩すべき高度の公共性がある場合か、2号に対応して、やむを得ない事由で行政財産の使用に重大な支障が生じた場合に限られると解すべきである。
本件各免除の違法性の有無は、結局のところ、渋谷区行政財産使用料条例5条3号の解釈問題に帰結する。行政庁に極めて広範な裁量の幅を認める原判決の判断は、使用料免除が可能となる場面を著しく限定的にしている渋谷区行政財産使用料条例5条3号の文言から明らかにかけ離れている。
使用料免除にあたって、行政庁に極めて大きな裁量を認める原判決の判断は、地方公共団体に使用料免除を濫発させ、ひいては、様々な弊害(地方公共団体の幹部と親しい関係にある者・団体に対して、情実で使用料を免除する等)を発生させることにつながりかねない。そうなった場合、地方財政法2条(地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行つてはならない。)、地方自治法2条14項(地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。)といった地方自治体の財政の健全性をうたった各種法令に反する事態となることは明白である。

第3 本件各免除は、渋谷区行政財産使用料条例5条3号に該当しないこと
1 国際交流学級は、以下のように各種法令違反がある上、使用場所、使用目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度等に照らして高度の公共性、公益性があるとはいえず、本件各免除をなすことは、渋谷区行政財産使用料条例5条3号にいうところの「前各号のほか、特に必要があると認めるとき」には到底該当しえない。
2 各種法令違反
(1)補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律違反
被控訴人区は、区立小学校である本件小学校を私立小学校の施設に転用したのであるから、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律上、文部科学大臣の承認を経た上で、国庫補助相当額を国に納付する転用手続をしなければならないところ、被控訴人区は、当該手続をせずに本件各使用許可をしたものであり、形式的な要件を満たしておらず違法である。
(2)学校教育法134条等違反
ホライゾン学園等が、本件施設でインターナショナルスクールを開設するには東京都知事の認可が必要となり、インターナショナルスクールでないとしても、被控訴人らの主張によれば、国際交流学級は、在日トルコ人子弟を中心とした児童に初等教育を授ける場というのであるから、少なくとも、学校教育法134条にいう「学校教育に類する教育を行うもの」に該当し、神奈川県知事の認可が必要となるが、いずれの認可も取得しないまま教育事業を行っており、渋谷区教育委員会は、本件施設で違法な教育施設を運営させていることになる。
(3)ホライゾン学園の寄付行為違反及び私立学校法30条違反
私立学校法上、学校法人を設立する場合には、その設立を目的とする寄付行為でその目的、名称、設立する私立学校の名称等を定めた上で、当該寄付行為について所轄庁の認可を申請しなければならず(30条)、寄付行為の変更も所轄庁の認可を受けなければ効力が生じないとされている(45条)など、寄付行為は学校法人の根本規範として極めて重要なものとして位置づけられており、寄付行為違反があった場合には、行政庁は是正を求める等の必要な措置を講じなければならない。
これを本件についてみると、被控訴人区は、ホライゾン学園の寄付行為上に直截に国際交流学級の運営について定める規定がないことについて、是正を求める等の適切な措置を講じなかっただけにとどまらず、平成20年度使用許可及び免除を通じて、積極的に寄付行為違反及び私立学校法30条違反行為に加担していたといえるから、平成20年度使用許可はホライゾン学園の寄付行為や私立学校法30条に違反する違法があると言わざるを得ない。
(4)憲法89条違反
渋谷区教育委員会が、平成21年度使用許可の名宛人としたのは、本件NPOではなく、あくまで設立準備会であり、平成21年度使用許可の時点では、NPOの設立認証を受けていなかったのであるから、「公の支配」に属しておらず、平成21年度使用許可は憲法89条に違反する。
(5)NPO法違反
平成22年度及び平成23年度使用許可を受けた本件NPOは、ホライゾン学園が私立学校法30条等に違反して違法に国際交流学級を運営していることからやむなく設立され、ホライゾン学園のために国際交流学級という私塾運営の営利事業を支援している団体であるからNPO法1条及び3条1項に違反する。
 3 使用料免除の必要性・相当性のないこと
(1)文科省は空き教室の国際交流学級への転用を予定していないこと
文部科学省は、公立小・中学校の余裕教室の活用について、平成5年4月に「余裕教室活用指針」を示し、まずは特別教室や多目的教室など学校教育活動のために活用し、さらに学校開放を支援するスペース、地域住民の学習活動のためのスペース等への転用を図るよう指導している。
しかし、国際交流学級は、私立のホライゾン学園等が運営するもので、学校教育法の「各種学校」にも該当しないのであるから、本来転用が予定されている社会教育施設等の公的施設ではなく、本来、転用が予定されてもいない。
したがって、余裕教室を活用することをもって、本件各使用許可を正当化することはできない。
(2)使用目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度が不相当であること
被控訴人区は、国際交流学級は、トルコの初等教育の場であるとか、被控訴人区が推進する国際交流事業に資するなどと主張している。
しかし、①平成20年度使用許可及び免除の名宛人である私立のホライゾン学園は、国際交流学級を「ホライゾンジャパン・インターナショナルスクール・渋谷キャンパス」と称し、自らが神奈川県内で運営する「ホライゾンジャパン・インターナショナルスクール・横浜キャンパス」と同一の運営主体であり、その運営実態も同一であることを公言しており、②平成21年度使用許可及び免除の名宛人である設立準備会、平成22年度使用許可及び免除の名宛人である設立準備会、平成22年度使用許可及び免除の名宛人である本件NPOの設立理由も、ホライゾン学園が国際交流学級の運営から離れることになったため、その存続を強く望む保護者や教職員が設立したものであって、教職員や児童、設備や備品の引継ぎ状況をみると、ホライゾン学園と実質的に同一主体といえること(なお、ホライゾン学園は、平成21年3月31日にわずか2年で国際交流学級の運営を放棄しており、そのような民間事業者を平成20年度使用許可の名宛人とした判断には、その基礎とされた重要な事実に誤認があったといわざるを得ない。)、③国際交流学級のカリキュラム、入学金、授業料(年間約200万円である。)等は全てホライゾン学園が決めており、国際交流学級のウェブサイト上にも、トルコ又はトルコ大使館が実質的な運営主体等であることは一切記載されていないこと、④そのカリキュラムも、トルコ語教育等のトルコの初等教育(放課後に選択制でトルコ語教育がされている。)などは行われておらず、多くのインターナショナルスクールと同様に、英国式カリキュラムによる英語の授業が行われているにすぎないことからすると、国際交流学級は、被控訴人区が主張するような在日トルコ人子弟の初等教育を目的としていたとも認められないし、被控訴人区の国際交流事業の一環として開設されたとも認められない(このように、使用の必要性が認められない中、桑原区長が、本件小学校の保護者や教職員等の意見を聴取するなどの手続きを踏んだり、渋谷区教育委員会等も交えて十分な検討を経ないまま、性急にトルコ大使からの個人的要請に応えたものにすぎない。)。
そうすると、国際交流学級は、公益性・公共性を欠いていた事業と言わざるを得ないし、そもそも本件小学校の「用途又は目的」は、初等義務教育のため広く等しい教育環境を提供することにあるところ(教育基本法1条、4条、学校教育法21条等)、本件施設を高額の授業料を支払える外国籍の児童のみを対象とした私塾の施設としてホライゾン学園等に使用させることは、義務教育課程の児童に対する教育的配慮に欠けるだけではなく、上記の公立小学校の理念や法令にも違反するから、本件各使用許可は、本件施設の「用途又は目的を妨げない限度」を超えたものとして、地方自治法238条の4第7項に違反するものといわざるを得ない。
また、ホライゾン学園等は、国や公共団体と同等のものとはいえず、それのみで公益性を有する者とはいえないところ、上記のとおり、国際交流学級は、外国籍の児童を対象とした高額の授業料を徴収する私塾であって、収益事業といえるから、教育財産管理規則9条7号の「公共的団体が、公用または公共用に供するために必要と認められる場合」(1号)に準ずる場合とは認められず、本件各使用許可は、同条7号に適合するものとはいえない。
そして、本件各施設を提供し、かつ、使用料を免除するという優遇政策がトルコ人に許容されるのは不平等と言わざるを得ず(憲法14条)、そのような行為が地方自治法2条2項の「地域における事務」に該当するとは到底いえない。
(3)国際交流学級に敢えて使用料免除を行ってまで本件施設を使用させる必要性は全くないこと
ア 国際交流学級では、英国のカリキュラムが採用され、英語で授業が行われていて、その実態は、インターナショナルスクールであって、トルコの義務教育・初等教育を行っていて、これを代替するものとは認められない(なお、運営主体は、平成21年度免除以降、設立準備会、本件NPOへと形式的に変更されているものの、国際交流学級の実態がインターナショナルスクールであることに変わりはない。)。
イ 被控訴人区は、国際交流学級について、被控訴人区の国際交流事業として位置づけられる被控訴人区の事業であると認識していたと主張しているが、そうであるならば、渋谷区教育委員会において、慎重かつ合理的に、運営主体を選定する必要があるところ、神奈川県において学校法人の設立認可を受けて以来3年にわたり赤字決算となっているホライゾン学園を運営主体として選定しているし(このように別事業の収支状況を勘案して使用料免除をすることにより、ホライゾン学園の別事業の赤字の補填となり、同学園に対する不当な利益供与となる。)、国際交流学級の収支状況を試算しておらず、何らの根拠のないまま、平成20年度免除をしたことになるし、設立準備会の平成21年度会計収支予算によれば、収入が大幅に増加し、黒字決算となることも見込まれたのに、平成21年度免除をしたことになる。
ウ 小学校の空き教室である本件施設をインターナショナルスクールに転用することは、各種法令や文科省の指針に反して許されないことは前述のとおりであるが、仮に、転用が許されたとしても、神宮前国際交流学級は、トルコ共和国の公教育は実施されず、トルコ人子弟も半数程度にとどまり(ウルケナン証人尋問3ページ)、授業は正課は全て英語で行われる顕著な特色のないごくありふれたインターナショナルスクールであるし(最終準備書面9ページ以下参照)、被控訴人区が国際交流事業を行いたければ、使用料を免除する必要のない財務状況のインターナショナルスクールを公募し、公募に応募してきたインターナショナルスクールの中から本件施設を使用させるインターナショナルスクールを選定し、使用料を徴求した上で本件施設の使用許可を出せばいいのである。
取り立てた特色も見られない神宮前国際交流学級に区民の貴重な財産を敢えて使用料免除で使用許可を出す必要性はどこにもない。

第4 結語
1 本件の一連の経緯を見るにつけ、何故トルコなのか、何故ホライゾン学園なのか、何故敢えて使用料を取らずに空き教室を貸す必要があるのか、という疑問が常に湧いてくる。
原判決のように、免除にあたっての行政庁の裁量を極めて大きくとり、本件に使用料免除が認められてしまうならば、全国各地で首長の情実による行政財産の貸し付け、情実による使用料免除といった事態が頻発しかねない。
2 住民の手によって 地方公共団体の財政の腐敗防止を図り、住民全体の利益を確保することを目的とする住民訴訟の趣旨(最高裁昭和53年3月30日判決参照)に鑑み、直ちに原判決を破棄し、控訴人らの請求を認められたい。

以 上

【ホライゾン学園】ホライゾン学園住民訴訟は残念ながら敗訴!

渋谷区立神宮前小学校の一部を、私立インターナショナルスクールであるホライゾン学園等に無償で使用させているとして、その使用許可及び使用料免除の取消を渋谷区に求めて、平成20年9月25日に提訴した住民訴訟の判決言い渡しが、6月11日、東京地裁であった。
判決は、原告側の主張が認められず、請求は一部却下、一部棄却であった。住民訴訟の要件である財務会計上の行為の認定が、近年、狭められているが、本判決もそれに沿ったものとなった。
使用料免除に関しては、実態審理がされたが、トルコ人子弟のための教育と国際交流に公益性があるとの判断であった。

しかしながら、判決文の中に「渋谷区においては、営利活動としてのインターナショナルスクールのために公有の教育財産(行政財産)である神宮前小学校の施設を無償で使用許可しているとの疑念を区民に抱かれないように、不断に、その活動、運営実態、収支状況等を把握し、使用料免除の許否等を検討していく必要があるものと考えられる」と指摘があるように、少なくとも、平成20年当時の渋谷区教育委員会庶務課長が、原告らに「本件に関して説明する義務はない」と言い放ったような蛮行は許されず、渋谷区は区長以下、アカウンタビリティー(説明責任)を果たさなければならない。

【ホライゾン学園】原告準備書面⑫

神宮前国際交流学級(ホライゾン学園)事件住民訴訟は、住民監査請求を提出して以来、実に4年8月の歳月が経て結審を迎えた。原告側、最終準備書面を数回に分けて紹介する。第12回目は、本件住民訴訟において監査請求期間徒過に「正当な理由」があることについてである。
以下、準備書面のその⑫である。


5 監査請求期間徒過に「正当な理由」があること 
(1)原告らは、平成20年6月30日付にて住民監査請求(以下「第1次監査請求」という。)を行っている(甲22)。
しかるに、被告らは、①19年許可から1年以上が経過していること、②施設工事整備費の支出負担行為(契約)、支出命令及び支出から1年以上が経過していることをもって適法な監査請求前置を欠くと主張する。
しかし、第1次監査請求が上記①②の事実から1年以上が経過した後になされたのには「正当な理由」がある(地方自治法242条2項)。
そもそも「正当な理由」とは、特段の事情がない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解されるときから相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断される。
被告らは、神宮前小学校の保護者を中心とした区民の理解を得るため、学校施設の一部を国際交流学級として使用するとともに、教育の場に困っているトルコ人の子供達を援助すると説明していた。
しかし、本件許可処分に基づく使用が実際に始まってみると、そこは、「教育の場に困っている」どころか高額の授業料を支払える裕福な家庭の外国人児童にのみ門戸を開く民間のインターナショナルスクール「ホライゾンジャパン・インターナショナルスクール・渋谷キャンパス」となっていた。しかも、国際交流学級とは名ばかりで、民間のインターナショナルスクールに学校施設を使用させるための名目にすぎないことが判明した。
そのため、不信に思った原告らは、平成19年3月29日付の行政財産使用許可書を情報公開請求したのである。
ゆえに、ホライゾン学園の使用料が免除となっていることを原告らが知ったのは、情報公開請求により上記許可書を取得した平成20年4月18日である。
また、ホライゾン学園に学校施設を使用させるために必要な整備工事を神宮前小学校の施設工事整備費を支出して行なった事実を原告らが知ったのも、工事契約書を情報公開請求し、これを取得した平成20年5月28日である。
原告らは、上記事実を知った後2ヶ月を経過しないうちに第1次監査請求をしたのであり、監査請求期間を徒過したことには正当な理由があると認められるから、第1次監査請求は適法である。
この点につき、被告らは、平成18年7月頃から町会やPTAなどの関係者に対する説明が行われ、渋谷区議会文教委員会においても同年8月から同年11月の間に報告が行われ、同委員会の会議録は同年10月から平成19年1月の間に区議会事務局にて閲覧可能となり、平成18年12月から平成19年4月の間に渋谷区議会ホームページ上にもアップされていたとして、「正当な理由」は認められないと主張する。
しかし、平成18年11月17日に開かれた渋谷区議会文教委員会(乙19)においてさえ、大澤庶務課長は次のように答弁している。
「行政財産の使用許可の相手方については、まだ決まっておりません。先ほどから申しておりますように、大使館とまず取り決めを結ぶことが前提です。」(8頁18行目)
「大使館と取り決めは結びます。これはお約束したいと思います。」(10頁後ろから6行目)
「渋谷区と在日トルコ大使館との取り決めによると、これが大前提だと思っております。」(11頁7行目)
すなわち、神宮前小学校施設の一部にてトルコ人学校が開設されるとしても、あくまでもトルコ大使館との取決めに基づく公的な施設利用であることを前提とした報告がなされており、民間団体に対して施設提供するものであることも、その使用料を免除することも一切報告されていない。
また、本件工事費についても、被告らは、「平成18年度当初予算に計上され、同予算は同年3月開会の第1回定例会において審議された上で議決された」と主張しているが、同予算には、ホライゾン学園に使用させるための施設工事整備費としては計上されておらず、あくまでも多目的室の改修費として計上されていたにすぎない。
この点について、平成18年10月6日の渋谷区議会文教委員会(乙18)において、柴田教育委員会事務局次長は次のように答弁している。
「予算編成、3月の際に御提示した数値の中には多目的室というものが含まれておりました。私どもは、トルコの子弟の皆さんに対する 学校がこの時点でこの中に持ち込めるという情報は十分にとらえておりませんでした。」(28頁終わりから10行目)
以上のとおり、渋谷区文教委員会の会議録によれば、平成18年11月17日の同委員会においてさえ、あくまでも渋谷区とトルコ大使館との間の取決めに基づく公的な施設利用によるトルコ人学校の開設であることが前提となっており、民間団体に無償提供することには一切言及されてない。平成18年度予算には神宮前小学校施設の改修工事費が計上されているが、民間団体に無償提供するための施設工事がなされることは一切前提とされていない。
それゆえ、原告らは、神宮前小学校施設の一部においてトルコ人学校が開設されたことは知っていたが、ホライゾン学園という民間の事業者が運営主体となっていることも、使用料免除によって無償使用していることも、その使用部分の改修工事整備費が多目的室用の改修費を流用して支出したものであることも知らなかったし、知りえなかったのである。
従って、第1次監査請求は、上記①②の事実から1年以上が経過した後になされたことに「正当な理由」が認められるから、適法である。
(2)原告らは、平成21年(行ウ)第484号事件(以下「第2次訴訟」という。)に先立ち、平成21年7月7日付け住民監査請求(以下「第2次監査請求」という。)を行い(甲42)、第2次訴訟にて、神宮前小学校施設をホライゾン学園に無償使用させたことによる平成20年7月1日から平成21年3月31日まで9ヶ月間の使用損害金を賠償請求するよう求めている。
この点につき、被告らは、上記違法使用の根拠となる財務会計上の行為は20年許可であるが、第2次監査請求は、20年許可から1年以上が経過しており住民監査請求期間を徒過しており、適法は監査請求前置を欠くと主張する。
しかし、原告らは、第2次監査請求及び第2次訴訟において、平成20年7月1日以降の使用損害金の賠償請求を求めているにすぎず、20年許可の取消を求めていない。
被告らは、原告ら住民により第1次監査請求がなされ、さらに第1次訴訟が提起され、20年許可の違法性が明らかになっているにもかかわらず、これを取り消すこともなく漫然と放置し、ホライゾン学園による神宮前小学校の違法使用を継続させた。
そこで、原告らは、ホライゾン学園による神宮前小学校施設の違法使用が平成20年7月1日以降も継続したことから、同日以降の使用損害金の賠償請求をも求めることにしたのである。
そのため、第2次訴訟に先立ち、第2次監査請求を行ったのであるが、20年許可の取消は第1次監査請求の対象となっており、第1次訴訟も係属していたのであるから、第2次監査請求において重ねてこれを求める必要はない。
原告らは、第2次監査請求において、平成20年7月1日以降の使用損害金の賠償請求を求める法的根拠として、念のため20年許可の違法性を主張して取消しを求めたにすぎない。
従って、平成20年7月1日以降の使用損害金の賠償請求権については、第2次監査請求の時点において未だ住民監査請求期間は徒過しておらず、適法は監査請求前置を欠くとの被告の主張は失当である。

【ホライゾン学園】原告準備書面⑪

神宮前国際交流学級(ホライゾン学園)事件住民訴訟は、住民監査請求を提出して以来、実に4年8月の歳月が経て結審を迎えた。原告側、最終準備書面を数回に分けて紹介する。第11回目は、本件住民訴訟における渋谷区長桑原敏武及び渋谷区教育委員の「当該職員」該当性についてである。
以下、準備書面のその⑪である。


3 渋谷区長桑原敏武氏の「当該職員」該当性
(1)被告らは、本件許可処分は執行機関たる教育委員会が行ったことであり、桑原敏武氏は、損害賠償責任を負担する「当該職員」(地方自治法242条の2)に該当しないと主張する。
   確かに、本件許可処分は、教育財産の管理行為であり、その職務権限を法令上形式的に有しているのは教育委員会である(地方教育行政の組織及び運営に関する法律23条2号)。
しかし、その教育財産は、「地方公共団体の長の総括の下に教育委員会が管理する」ものとされており(同法28条1項)、教育財産の管理の適正を期するため職務権限を有しているのは地方公共団体の長である。
しかも、教育委員会を構成する各委員の任命権・罷免権は地方公共団体の長が有しており(同法4・7条)、「私立学校に関すること」については地方公共団体の長が、教育委員会を超越した固有の職務権限を有している(同法24条2号)。
以上からすれば、地方公共団体の長は、教育委員会を構成する各委員を支配する力を有しており、教育委員会が、地方公共団体の長の指揮命令あるいはその意向から独立して教育財産の管理を行うことはなく、むしろ地方公共団体の長の指揮命令あるいは意向を受けて教育財産の管理を行っているのである。
実際に、本件許可処分は、渋谷区長である桑原敏武氏が、トルコ共和国大使からの個人的な協力要請に応えて公共施設を提供するための方策を考えるよう教育委員会に指示を出し、教育委員会と一体となって「はじめに結論ありき」の決定をしたものである。
従って、教育委員会を構成する各委員のみならず、区長たる桑原敏武氏も「当該職員」に該当するのであり、本件許可処分による損害賠償責任を免れない。
(2)本件許可処分における使用料免除は渋谷区行政財産使用料条例5条を根拠とするものであるが(乙15)、同条は、「区長及び教育委員会は、次の各号の一つに該当する場合に使用料を減額または免除することができる」と規定しており、区長たる桑原敏武氏も使用料減免権限を有しているのであり、「当該職員」に該当することは明らかである。
従って、教育委員会を構成する各委員のみならず、区長たる桑原敏武氏も「当該職員」に該当するのであり、本件使用料免除による損害賠償責任を免れない。   
 4 教育委員会委員の「当該職員」該当性
被告らは、本件工事に係る支出は、区長の補助機関たる副区長や営繕課長が行っているものであるから、教育委員会を構成する各委員は、損害賠償責任を負担する「当該職員」(地方自治法242条の2)に該当しないと主張する。
   地方教育行政の組織及び運営に関する法律24条は、「地方公共団体の長は、次の各号に掲げる教育に関する事項を管理し、執行する。」と規定し、4号として「教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶこと」を、5号として「前号に掲げるもののほか、教育委員会の所掌に係る事項に関する予算を執行すること」を、挙げている。
   従って、学校建築のための請負契約、教育財産の取得、貸付、処分のための売買契約、賃貸借契約、教具・消耗品の売買契約などは、地方公共団体の長が行うことになる。また、上記契約に基づく支出も地方公共団体の長が行うことになる。
   しかし、4号は、地方公共団体の長に対し、独自に契約を締結する権限を与えたものではない。教育財産取得のための契約では、同法28条2項に規定する教育委員会の申し出を待って行わなければならず、その他の契約も、必要とする契約内容等を教育行政の見地から決定するのは教育委員会であり、長は、締結方法の決定、相手方の選定等を財務の見地から行い、自ら地方公共団体を代表とする名義人となって契約を締結することになる。 
校舎の整備に関することは教育委員会の所掌するところであり(同法23条7号)、請負契約の締結、教育財産の取得、予算執行は長の権限とされている。
  従って、学校建築を例にとれば、学校建築の意思決定、学校の位置の決定、校舎の配置計画、平面計画の作成等学校建築の一般的計画に関する事務は教育委員会が行い、予算編成、国庫負担金等の申請・受入、設計図・仕様書・工事予定価格調書等の作成、入札事務、建築確認申請、請負契約の締結、工事監督、研修、業者への支払、敷地買収、財産登記嘱託等は長が行うことになる。
本件の場合、神宮前小学校舎の一部をホライゾン学園に専用させ、運動場、体育館、プール、和室などを共用させること、校舎のどの部分を専用させるか、専用させるにあたってどのような構造(平面図の作成など)にするか等を決定したのは教育委員会である。
   従って、本件工事に係る工事請負契約の締結、及び、請負代金の支払が、区長の補助機関たる副区長や営繕課長が行ったとしても、区長ないしその補助機関が、独自の判断に基づいて行ったものではなく、教育委員会の上記事項に関する決定を受けた上で行われたものである。
しかも、ホライゾン学園に施設提供するための改修工事費は、もともとは神宮前小学校に在籍する児童のための多目的室の改修費として計上されていたにもかかわらず、本件許可処分に基づき、この予算を流用して本件改修工事費として支出したのである。
とすれば、平成18年度予算として計上されていた多目的室改修費の支出に関する財務会計上の行為は副区長や営繕課長が行ったとしても、これをホライゾン学園に施設提供するための本件改修工事費に流用させたのは区長であり教育委員会である。
よって、区長である桑原敏武氏のみならず本件許可処分を決定した教育委員会を構成する各委員も「当該職員」に該当するのであり、本件改修工事による損害賠償責任を免れない。

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