シブヤ大学違法転貸について渋谷オンブズマン第二次訴訟を提起へ!!

渋谷オンブズマンは2月4日に渋谷区サービス公社がシブヤ大学への平成18年4月1日から平成22年3月31日までの五年間の違法転貸についての第二次訴訟を提起した。
一昨年と昨年9月の渋谷区議会ではメンバーでもある堀切議員が桑原としたけ区長及び部長へ本件のシブヤ大学の返済について質問もしていた。そもそも株主であり、部長級を6人も渋谷サービス公社へ送り込んでいる渋谷区が依然約800万円もの返済を同公社を通し促がしもせず、シブヤ大学へ怠っている事実は渋谷サービス公社の区民サービス低下を招く重大なことでもある。
 同時に渋谷オンブズマンとしては昨年9月にはシブヤ大学が渋谷サービス公社へ平成24年第一次訴訟終結後の返済状況について、情報公開請求にて無返済であることを確認していた。そこで昨年11月25日に渋谷区監査事務局へ渋谷サービス公社の株主である渋谷区がシブヤ大学への返済を放置している件について住民監査請求を起こした。そこで驚く事に渋谷区から住民監査請求結果の出る直前の本年1月19日に訴訟終結後二年ぶりにシブヤ大学は30万円のみを渋谷サービス公社へ返還してきた。
まだ渋谷サービス公社には700万円弱が返還されない。区民の行政サービスはこの分削られた
まま運営がされることとなる。
渋谷オンブズマンは本件のような政官業間での利益供与の末、区民への負担を押し付ける渋谷区の不正とは断固戦うことを申し述べておく。

訴  状
平成26年1月31日
東京地方裁判所行政部 御中
               原告訴訟代理人弁護士 本  間  久  雄

〒151−0072 東京都渋谷区幡ヶ谷2−45−3−3F
               原        告 堀  切  稔  仁
〒231−0006 神奈川県横浜市中区南仲通一丁目6番
          関内NSビル2階
          横浜関内法律事務所(送達場所)
          電 話 045−212−1233
          FAX 045−212−2233
               原告訴訟代理人弁護士 本  間  久  雄
〒150−8010 東京都渋谷区宇田川町1−1−
               被        告 渋谷区長桑原敏武
住民訴訟(3号請求)事件
訴訟物の価額 160万円
貼用印紙代 1万3000円
                                  
請求の趣旨
1 被告が、肥後慶幸に対し、責任追及等の訴えを提起しないことが違法であることを確認する。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

請求の原因
第1 当事者等
 1 原告は、渋谷区民である。
 2 桑原敏武は、現在の渋谷区長である。
 3 肥後慶幸は、後述の平成22年5月29日から、平成24年3月31日まで、株式会社渋谷サービス公社(以下、「渋谷サービス公社」という。)の代表取締役の地位にあった者である。

第2 本件監査請求に至る経緯
 1 株式会社渋谷サービス公社(以下、「渋谷サービス公社」という。)は、渋谷区から、行政財産使用許可を取得して、東京都渋谷区宇田川町5番2号所在の渋谷区神南分庁舎2階を使用していた(なお、本請求に係る行政財産使用許可番号は、平成20年3月19日付清掃リサイクル許可第2号、平成21年3月19日付清掃リサイクル許可第2号、平成22年3月17日付環境保全許可第2号)。
 2 渋谷区サービス公社が、渋谷区神南分庁舎2階を使用するにあたっての、許可条件の中に、転貸禁止(「使用者は、使用財産を他の者に転貸してはならない。」)の条件が盛り込まれていた。
 3 しかるに、渋谷区サービス公社は、転貸禁止の条件に違反し、平成20年5月29日以降、特定非営利活動法人シブヤ大学(以下、「シブヤ大学」という。)に対し、渋谷区神南分庁舎2階を事務所として、シブヤ大学に使用させた。そのため、渋谷サービス公社は、転貸禁止条件に違反したことにより、渋谷区に対し、平成22年12月8日、シブヤ大学使用部分に係る平成18年4月1日から平成22年3月19日付清掃リサイクル許可第2号の試用期間終了時である平成22年3月31日までの行政財産使用料相当額(合計847万4108円)並びにこれに対する平成22年12月8日までの間の年5分の割合による遅延損害金相当額(合計120万5887円)合計967万9995円の支払を行った。なお、後に、サービス公社は、渋谷区より、当該室の明渡完了日(平成23年1月末日)から平成23年3月31日までの2ヵ月分の行政財産使用料相当額(27万6336円)の還付を受けた。また、シブヤ大学は、本件に関し、サービス公社に対し、平成24年1月25日、「行政財産使用料第1回請求分」として、83万8913円を、平成24年9月28日には、40万7559円を支払った。
 4 原告は、平成23年12月に渋谷区長が、肥後慶幸に対して、責任追及の訴えを提起して渋谷区が被った損害を回復させないのは違法であると住民訴訟を提起した。しかしながら、平成24年8月30日、東京地裁は、訴えの適法性は認めたものの、「渋谷サービス公社は、シブヤ大学から分割払いにより本件損害賠償金に相当する金額の第1回分を回収している上、その後回収努力をしなくなったという事情もみとめられない」ことを重視して、監査請求人らの請求を棄却した(甲1号証)。監査請求人は、東京高裁に控訴したものの、控訴審も第1審を支持し、平成24年12月25日、監査請求人の控訴を棄却した。
 5 控訴審判決後、シブヤ大学は、渋谷サービス公社に対し、全く弁済を行っていないことが判明した。そのため、東京地裁判決のいうところの「その後回収努力をしなくなったという事情」が見受けられないため、原告は、肥後慶幸によって渋谷区が被った損害(渋谷区が保有する株式の財産価値の毀損)の回復を求めて、本件住民訴訟に及んだ次第である。
   なお、シブヤ大学は、渋谷サービス公社に対し、平成26年1月14日に30万円を支払っているものの、その支払は原告が平成25年11月26日に行った本件の住民監査請求を受けた上でのことであり、原告が住民監査請求を行わなければ支払われなかったものである。

第3 株主代表訴訟を提起すべきこと
 1 渋谷サービス公社が、転貸禁止の条件に反し、シブヤ大学に渋谷区神南分庁舎2階を貸し付けたことにより、渋谷サービス公社は、785万7187円(967万9995円−27万6336円−83万8913円−40万7559円−30万円)の損害を被った。
   転貸禁止の条件は、行政財産使用許可書に明記されている以上、それに違反して、転貸を行うことは、取締役の善管注意義務違反(会社法330条・民法644条)、忠実義務違反(会社法335条)となる。
 2 渋谷区は、渋谷サービス公社の株主であり、渋谷区サービス公社代表取締役肥後慶幸の善管注意義務違反、忠実義務違反によって、現在のところ、渋谷区の有する渋谷サービス公社の株式価値が、785万7187円分毀損されている(遅延損害金を勘案するとそれ以上の金額となる。)。
 3 渋谷区長は、渋谷区の財産管理について、善管注意義務を負っており(地方自治法138条の2「普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。」)、渋谷区の被った損害(785万7187円)を回復するために、肥後慶幸に対し、責任追及の訴え(会社法847条1項、株主代表訴訟)を提起し、渋谷サービス公社に785万7187円を返還させなければならない(遅延損害金を勘案するとそれ以上の金額となる。)。

第4 監査請求前置
   原告は、平成25年11月26日付で渋谷区監査委員に対し、地方自治法242条1項に基づき、渋谷区長が、肥後慶幸に対し、責任追及等の訴えを行うことを求める住民監査請求を行ったが、渋谷区監査委員は、平成26年1月24日付でこれを却下した(甲2号証)。

第5 結語
   以上の次第であるから、請求の趣旨記載のとおりの判決を求める
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theme : 政治・経済・時事問題
genre : 政治・経済

【シブヤ大学】住民訴訟の効果

(株)渋谷サービス公社がNPO法人シブヤ大学に対して、神南分庁舎の一室を無断転貸していた事件で、渋谷オンブズマンは賃料相当額の返還を求めて住民訴訟を提訴した。
一審では請求は棄却され、現在、控訴しているが、NPO法人シブヤ大学は神南分庁舎を退去し、賃料相当額の一部を返還し、今後も返還を続けるようである。第一回返還額は83万8931円、第二回返還額は40万7559円、返還額の合計は、124万6490円である。
判決では負けても、提訴した意味は十分に有り、実質、勝訴であると言っても過言ではない。

【シブヤ大学】シブヤ大学事件住民訴訟の控訴理由書

13日(火)東京高裁において、シブヤ大学事件住民訴訟の控訴審が開かれたが、即日、結審した。
以下、控訴人・渋谷オンブズマンの控訴理由書である。

控 訴 理 由 書

平成24年11月13日

東京高等裁判所第21民事部 御中

控訴人ら訴訟代理人弁護士 本  間  久  雄

頭書事件の控訴理由は、以下のとおりである。

第1 原判決の内容
1 原判決は、被控訴人が肥後慶幸に対して責任追及等の訴えを提起しないことにつき、違法に財産の管理を怠るものということができないと判示した。
その根拠として、①本件損害賠償金相当額をシブヤ大学に対する仮払金として貸借対照表の資産項目に計上している、②渋谷サービス公社は、シブヤ大学から分割払いにより本件損害賠償金に相当する金額の第1回分を回収している上、その後回収努力をしなくなったという事情も認められない、③シブヤ大学は活動を継続しており、シブヤ大学が未収金の残額を支払うことができない状況にあるとは認められないという点を掲げている。
2 しかしながら、上記判示は、以下に述べるとおり、判決の結論に重大な影響を及ぼすような事実誤認があり、原判決は破棄を免れない。

第2 原判決の重大な事実誤認1~シブヤ大学に未収金の支払い能力はないこと~
1 証拠に基づかない認定
原判決は、何らの証拠に基づくことなく、シブヤ大学は活動を継続しており、シブヤ大学が未収金の残額を支払うことができない状況にあるとは認められないなどと認定をしている。
しかしながら、控訴人らが、東京都から情報開示を受けたシブヤ大学の平成21年度から平成23年度までの事業報告(甲12号証ないし甲14号証)を見ると、シブヤ大学は、未収金残額856万4746円(渋谷サービス公社が渋谷区に支払った940万3569円からシブヤ大学から弁済を受けた83万8913円を控除した金額)を支払えるような経営状況にないことは明らかである。
2 シブヤ大学の事業報告書
(1)2009年(平成21年)度事業報告書(甲12号証)
 ア 会計財産目録
現金預金が211万0260円のみであり、資産から負債を差し引いた正味財産は、69万3421円しかない。
 イ 会計収支計算書
当期収支差額が420万8273円であるものの、前期繰越収支差額(351万4852円)を差し引くと、69万3421円しか次期に繰り越せない。
(2)2010年(平成22年)度事業報告書(甲13号証)
 ア 会計財産目録
現金預金が450万6978円あるものの、資産から負債を差し引いた正味財産は、69万9089円しかない。
 イ 会計収支計算書
当期収支差額が5668円しかない。
(3)2011年(平成23年)度事業報告書(甲14号証)
 ア 会計財産目録
現金預金が48万3056円しかなく、正味財産は598万4758円ものマイナスとなっている。
 イ 会計収支計算書
当期収支差額が668万3847円もの大きな赤字となっており、次期には、598万4758円もの赤字を繰り越すことになっている。
3 シブヤ大学に返済能力がないこと
上記の事業報告書から明らかなとおり、シブヤ大学は、収支計算において、平成21年度には約420万円の黒字を計上しているものの(ただし、前年度の赤字を差し引くと約70万円の黒字となる。)、平成22年度には、僅か6000円程度の黒字、直近では、約600万円もの赤字を出している。
そして、シブヤ大学の正味財産は、良い年でも約70万円程度しかなく(甲12号証、甲13号証)、平成24年3月31日現在、シブヤ大学は、約600万円もの負債を抱えている(甲14号証)。
このように、シブヤ大学の事業を継続させ、その収益から未収金残額を弁済させるにしても、シブヤ大学には、年間の収入から通常必要な事業費・管理費を控除すると、殆ど利益が残らず(寧ろ数百万円単位の赤字を出す年すらある。)、シブヤ大学が、未収金残額856万4746円を渋谷サービス公社に弁済することはほぼ不可能である(シブヤ大学は、社会教育の推進、子どもの健全育成に関する普及、啓発事業、教育事業、講演会という営利性のない事業のみを行っており(甲12号証ないし甲14号証)、今後も、本件未収金を支払えるだけの収益を出す見込みはない。)。そして、渋谷サービス公社が、シブヤ大学の破産を申し立てるなどして、シブヤ大学の清算価値から未収金残額856万4746円の回収を図ろうにも、現状では、シブヤ大学の正味財産は、約600万円ものマイナスとなっており、シブヤ大学の精算により未収金の回収を図ることは、不可能である。
4 小括
以上より、原判決が、シブヤ大学は活動を継続しており、シブヤ大学が未収金の残額を支払うことができない状況にあるとは認められないなどと認定したことは、明らかな事実誤認である。
また、原判決は、渋谷サービス公社が、本件損害賠償金相当額を未収金として貸借対照表の資産項目に計上していることは、直ちに上記未収金を償却したり、引当金として計上したりすべきものとは解されないなどと判示しているが、上記のようなシブヤ大学の財務状況に鑑みると、上記未収金の回収はほぼ不可能である以上、上記未収金を償却したり、引当金として計上するなどの措置を取るべきことは明らかである。
なお、原判決は、シブヤ大学の渋谷サービス公社に対する83万8913円の一部弁済を重視して、渋谷サービス公社に損害(未収金回収不能)が発生していないとの結論を導いているが、請求日(平成23年12月5日)、支払日(平成24年1月25日)から、この一部弁済は、監査請求対策・住民訴訟対策の点からなされたものであることは明らかであり(シブヤ大学は、約600万円もの赤字を来期に繰り越すことになることが分かっていながら、83万8913円も支払っている。)、本件住民訴訟が原告ら敗訴のままで終わった後も、シブヤ大学が渋谷サービス公社に弁済を続けていくことは、担保徴求はおろか、債務弁済に関する書面すら一切作成されていない現状及びシブヤ大学の極めて劣悪な財務状況に照らすと、極めて疑わしい。

第3 原判決の重大な事実誤認2~渋谷サービス公社は、未収金回収努力を怠っていること~
1 原判決の認定
原判決は、渋谷サービス公社が、シブヤ大学から分割払いにより本件損害賠償金に相当する金額の第1回分を回収している上、その後回収努力をしなくなったという事情も認められない(=渋谷サービス公社は、未収金回収努力を行っている。)などと判示している。
2 原判決の認定は、取引社会の実情を無視していること
通常の取引社会では、債権者が、本件のような未収金の債権回収を図る場合、まず、債務者との間で債務弁済契約を締結したり、債務者に念書を差し出させる等して、債務の存在・支払方法を書面で明らかにするのが、債権者の取るべき通常の行動である。ところが、本件の場合、渋谷サービス公社とシブヤ大学との間には、債務弁済に関する書面が何ら作成されていない。
さらには、シブヤ大学のような弁済能力に疑問がある債務者の場合、債権者は、公正証書による債務弁済契約書を作成したり、代表者に個人保証させたり、代表者所有の不動産に抵当権を設定させるなど、債権保全措置を取るのが通常のところ、渋谷サービス公社は、そのような債権保全措置を一切取っていない。 このように、渋谷サービス公社は、取引社会において債権者として通常取るべき行動を一切取っていない(シブヤ大学に対し、債務弁済に関する合意を証する書面すら徴求していない。これでは、シブヤ大学が、渋谷サービス公社に対し、いつ、いかなる金額を支払っていくかが全く不明で、未収金の存在が曖昧になり、最悪の場合、未収金が時効消滅する可能性すらある。)にも関わらず、原判決は、渋谷サービス公社は、回収努力をしなくなったことはないなどと判示しており、原判決の認定は、取引社会の実情を完全に無視したものであり、経験則に違背している。
3 小括
したがって、渋谷サービス公社は、未収金回収努力を怠っていないとの原判決の認定は、取引社会の通常の経験則に違背し、事実誤認である。

第4 渋谷区長は、肥後慶幸に対し、責任追及等の訴えを提起すべきであること
1 原判決の規範
原判決は、地方公共団体の長において、提訴請求や責任追及等の訴えの提起をしないことが違法な怠る事実に当たるというためには、少なくとも、客観的に見て当該役員等の違法行為、当該株式会社の損害、提訴請求や責任追及等の訴えの要件の存在を認定するに足りる証拠資料を地方公共団体の長が入手し、又は入手しえたことを要するものというべきであるなどと判示している(原判決17ページ)。
そして、原判決の示す規範によっても、本件において、渋谷区長が、肥後慶幸に対し、責任追及等の訴えを提起すべきことは明らかである。
2 客観的に見て肥後慶幸の違法行為(善管注意義務違反(会社法330条・民法644条)・忠実義務違反(会社法355条))が明らかであること
渋谷サービス公社が、渋谷区神南分庁舎2階を使用するにあたっての、渋谷区から付された許可条件の中に、転貸禁止(「使用者は、使用財産を他の者に転貸してはならない。」)の条件が盛り込まれていた(甲2号証等)にも関わらず、肥後慶幸は、渋谷サービス公社の代表取締役として、渋谷サービス公社が、シブヤ大学に神南分庁舎2階を事務所として使用させることを意思決定した。
転貸禁止条項は、許可証に明記されていた上、行政財産が転貸禁止であることについては、渋谷区職員から渋谷サービス公社代表取締役に天下った肥後慶幸にとって重々承知していたことである。
それにもかかわらず、肥後慶幸が渋谷サービス公社の代表取締役として、渋谷サービス公社が、シブヤ大学に神南分庁舎2階を事務所として使用させることを意思決定したのであるから、肥後慶幸に善管注意義務違反・忠実義務違反があることは明らかである。
3 渋谷サービス公社に損害が発生したこと
シブヤ大学に弁済能力がなく、今後も弁済の見込みがないことは、第2で述べたとおりであり、渋谷サービス公社は、シブヤ大学に対する未収金を貸借対照表上「資産」に計上しているが、回収の見込みがないことから、「資産」とは到底評価できないものである。
したがって、渋谷サービス公社は、未収金残額856万4746円分の損害が発生している。
仮に、渋谷サービス公社とシブヤ大学との間で弁済の協定ができたとしても(現状では弁済の協定は一切なされていない。)、シブヤ大学の劣悪な財務状況から考えて、弁済は極めて長期間に亘るものと考えられる上、そもそも、シブヤ大学は、年間収益が殆どないばかりか、年間で約600万円もの赤字を出す年もある団体であるので、弁済協定どおりに弁済がなされる保証は全くない。そうであるならば、渋谷区の職員や渋谷サービス公社の代表取締役を長年務め、弁済能力に欠くことのないであろう肥後慶幸に対し責任追及等の訴えを提起することによって本件未収金を回収した方が、渋谷区の財産上の損失を短期かつ確実に回復できる。
4 提訴請求や責任追及等の訴えの要件があること
渋谷区は、渋谷サービス公社が設立された平成2年より一貫して渋谷サービス公社の株式を保有している上、渋谷区の責任追及等の訴えには、不当な利益を図る目的や渋谷サービス公社に損害を加える目的は一切ないことから、会社法847条所定の提訴請求や責任追及の訴えの要件があることは明白である。
5 小括
したがって、原判決の示す規範によっても、本件において、被控訴人が、肥後慶幸に対し、責任追及等の訴えを提起すべきことは明らかである。

第5 結語
原審平成24年6月28日付原告準備書面(3)6ページでも主張したとおり、渋谷サービス公社のような地方公社・第三セクターの場合、地方公共団体と同一視できるほどの公共的性格を持っていながら、民主的コントロールが及びにくい。
本件訴訟のような3号請求は、そのような地方公社・第三セクターに市民の民意を及ぼすほぼ唯一の手段であり、重要な意義を有する。
被控訴人が、「違法若しくは不当に…財産の管理を怠」(地方自治法242条1項)っていることは明白であり、控訴審におかれては、上記のような本件訴訟のもつ重要な意義に鑑み、速やかに原判決を破棄し、控訴の趣旨のとおりの判決を下されたい。

以 上

【シブヤ大学】住民訴訟は棄却

(株)渋谷サービス公社が、神南分庁舎の2階の一部をNPO法人シブヤ大学に無断転貸していたことによって被った損害の責任追及等の訴えを、渋谷区が当時のサービス公社社長に対して提起しないことの違法性確認を求めた住民訴訟は、8月30日に判決言い渡しがあり、原告・渋谷オンブズマンの請求は棄却された。

しかしながら、渋谷区監査委員が住民訴訟の要件であるところの監査請求を不適法なものとして却下したことに対しては、裁判所は失当であるとして、実体審理を行った。
また、シブヤ大学からは分割ではあるが損害の補填が行われているので、直ちに責任追及をする必要はないというのが棄却の理由である。
すなわち、NPOシブヤ大学は神南分庁舎を退去させられ、分割ではあるが賃料相当損害金を支払っているという結果をみれば、渋谷オンブズマンの所期の目的は達成されたといえるであろう。

【シブヤ大学】渋谷区が正面から反論しないまま結審

昨日(28日)、(株)渋谷サービス公社がNPO法人シブヤ大学に対して、神南分庁舎の一部を転貸して、違法無償使用させていた事件が結審した。
本件訴訟は、渋谷サービス公社の前社長・肥後慶幸が、シブヤ大学に神南分庁舎を無断無償で使用させることによって同公社に与えた損害を、渋谷区が渋谷サービス公社に株主代表訴訟を提起して、同公社に具体的な損害補填措置をとるように求めた住民訴訟である。
以下、原告側が今回提出した準備書面である。


第1 はじめに
被告から、平成24年6月8日付準備書面(2)が提出された。内容は、被告の従前の主張の繰り返し、若しくは従前の主張を若干敷衍するものに過ぎず、あえて反論するまではないと思われるが、本準備書面では、なお念のため反論を行うこととする。

第2 「原告らの主張に対する反論」(平成24年6月8日付準備書面(2)5ページ)に対する再反論
1 被告は、①譲渡制限株式の評価方式が多種多様に存在する以上、940万3659円の支出額が、直ちに同公社の株式価値の減少額とはならない、②渋谷サービス公社の純資産額は、支出前後で異ならない、という2点を主張している。

2(1)しかしながら、①については、原告らが、平成24年5月10日付原告準備書面(1)5ページ以下で反論したとおり、渋谷サービス公社が渋谷区に支払った940万3659円の支出は、株式価値の減少をもたらすものであり、渋谷区の有する財産に「損害」があったことは明らかである。
(2)株主代表訴訟は、個々の株主が、株式会社の有する権利を株式会社のために行使して役員等の責任を追及する方法を認めることにより、株式会社の利益の回復ひいては株主の利益の確保を図る趣旨に出たものである(東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社訴訟(第2版)」(判例タイムズ社)271ページ)。
被告は、上記支出の前後において、渋谷サービス公社の純資産が減少していないなどと主張しているが、渋谷区が、肥後慶幸に対して、株主代表訴訟を提起して責任を追及し、940万3659円及びその遅延損害金を渋谷サービス公社に返還させることで、渋谷サービス公社の利益の回復ひいては渋谷区の利益の確保が図られるのである。たとえ渋谷サービス公社の純資産が減少していなくとも、被告が、肥後慶幸に対し株主代表訴訟を提起すれば、940万3659円及びその遅延損害金を渋谷サービス公社が取得することができることから、渋谷区長が株主代表訴訟を提起していない現在、その限りで損害が発生している。
渋谷区の利益の確保が図られる方策があるにも関わらず、その方策を取らないことは、「違法若しくは不当に…財産の管理を怠る」(地方自治法242条1項)ものといえる。

3 したがって、被告の主張する「原告らの主張に対する反論」は、いずれも失当である。

第3 本案についての被告の主張に対する反論

1 善管注意義務違反について
(1)はじめに
被告は、肥後慶幸について、善管注意義務違反はなかったので、株主代表訴訟を提起する必要はないなどと主張している。
しかしながら、原告らは、肥後慶幸の善管注意義務違反を客観的に基礎づける動かぬ事実(行政財産使用許可の転貸禁止条件に違反してシブヤ大学に渋谷区神南分庁舎2階の一角を事務所として貸し出した。)を主張立証しており、請求の趣旨を導くための要件事実は十分に主張立証されている。被告が主張する事項は、本件請求認容後に渋谷区長が肥後慶幸に対して提起する責任追及の訴え(株主代表訴訟)において審理されるべきものである。
したがって、被告の主張について反論することは不必要であると思われるが、なお念のため、本項においては、被告の善管注意義務違反に関する主張について反論をしていく。
(2)肥後慶幸に善管注意義務があること
被告は、渋谷サービス公社とシブヤ大学と業務委託契約を締結したことに不合理な点はなく、事業提携に伴い渋谷サービス公社の事務室の一部を作業場等として使用させることに合理性があり、シブヤ大学固有の業務が渋谷サービス公社事務室で行われたとは分からなかったなどと主張している。
確かに、株式会社がどのような団体と事業提携を行うかについての取締役の経営判断につき裁量権があることは間違いない。しかし、原告らが肥後慶幸の善管注意義務違反と主張しているのは、行政財産使用許可において転貸が禁止されているにも関わらず、シブヤ大学に渋谷区神南分庁舎の一角を事務所として貸し出したという点である。
この点について、被告は、①渋谷サービス公社の事務室を提携事業の作業場等としてシブヤ大学にしようさせることは、同事業の効率的な運営に資する、②監査において、転貸禁止に当たるとの判断は、シブヤ大学の主たる事務所の法人登記を渋谷サービス公社の事務室の一部としたことから、同大学固有の業務が同公社事務室で行われたと認められることを理由になされたものである、③商慣習上、取引相手の法人登記の確認はなされないのが通常である上、肥後慶幸は、シブヤ大学から法人登記について何らの相談を受けておらず、同大学による事務所の移転と評価できるような行動も見られなかった、などと主張している。
しかしながら、①シブヤ大学の行う提携事業は、専ら渋谷区神南分庁舎以外の場所で行われているにも関わらず(乙20号証)、渋谷サービス公社が、シブヤ大学に対し、渋谷区神南分庁舎の使用許可を受けた部分のうち他の部分と明確に区分された34.2㎡の一室をほぼ専用に近い状況(甲4号証10ページ)で作業場として使用させることは、不合理かつ明らかに必要性・相当性を欠いている、②監査において、転貸禁止に当たるとの判断は、法人登記において、シブヤ大学の主たる事務所が渋谷サービス公社の事務室の一部とされているという形式的な理由ではなく、上記一室が、シブヤ大学の事務所及び委託業務以外のシブヤ大学固有の業務場所として使用されているという実態を踏まえてなされている(甲4号証19ページ)。法人登記の主たる事務所の記載は、監査において事実認定の一材料とされているに過ぎない(「少なくとも(法人登記において、シブヤ大学の主たる事務所が渋谷区神南分庁舎2階の一室となった)平成20年5月29日以降は、シブヤ大学の法人固有の業務も併せて行われており、シブヤ大学の事務所としても兼ねて用いられていた。」(甲4号証11ページ)。この監査結果の記述は、平成20年5月29日以前から神南分庁舎2階の一室は、シブヤ大学に転貸されていたことは間違いないであろうが、事実認定を厳格にするために、法人登記の主たる事務所の記載という客観的事実をもって転貸開始日を認定しようという意図からなされたものである。)、③シブヤ大学は、平成18年9月7日に設立されたばかりの法人(甲4号証19ページ)であり、このような設立されて間もない法人の場合、取引の安全を確保するため、法人登記を確認するというのが通常の商慣習である。また、渋谷サービス公社の本社は、東京都渋谷区宇田川町5番2号(甲1号証)、すなわち渋谷区神南分庁舎に所在しているところ、同じ神南分庁舎内において、シブヤ大学が同庁舎の2階を①で述べたような態様で使用し、委託業務以外のシブヤ大学固有の業務も行ってていることに渋谷サービス公社社長である肥後慶幸が気が付かない訳はない(原告らが、神南分庁舎の2階がシブヤ大学の事務所として用いられていることを発見した(そして、住民監査請求を行った(甲4号証))のに、ほぼ毎日神南分庁舎に通っていたであろう肥後慶幸がその事実に気が付かない訳はない。)。
(3)小括
したがって、肥後慶幸に取締役としての善管注意義務があったことは明白である。

2 株主の裁量について
被告は、責任追及等の訴えを提起するかどうかは株主の裁量判断によるものであるなどと主張している。
確かに、株主が私人であったならば、責任追及等の訴えを提起するか否かは、株主の裁量判断に委ねられるであろう。しかしながら、本件の場合、株主は、渋谷区という地方公共団体である。原告らが平成24年5月10日付準備書面(1)7ページで主張したとおり、地方公共団体は、地方財政法や地方自治法の規律を受け、財産管理における裁量も自ずから法令による制限を受ける。
そして、最高裁平成16年4月23日判決(民集58巻4号892ページ)や京都地裁昭和61年4月10日判決(判時1213号74ページ)等は、債権について、客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず、原則として、地方公共団体の長にその行使または不行使についての裁量はないとしている。このような判例の趣旨からいえば、地方公共団体の長は、客観的に地方公共団体の財産価値を回復する手段があるにも関わらず、理由もなくその手段を取らないことについての裁量はないというべきである。
したがって、渋谷区の有する財産価値を回復する手段(=株主代表訴訟)があるにも関わらず、それを正当な理由なく提起しようとしない被告の行為は、違法である。

第4 結語
渋谷サービス公社のような地方公社や第三セクターは、地方自治法上の団体ではないため、民主的コントロールが及びにくく、そのため、近時、地方公社や第三セクターが、多額の不良資産、負債を抱え、破綻するなどしたため、地方公共団体がそれを支援しようとして債権放棄、補助金交付などの方法により多額の財産負担を行い自治体財政悪化に拍車がかかるような事例が多々見られる(井上元「住民訴訟の上手な活用法」(民事法研究会)37ページ以下)。また、民主的コントロールが及びにくいことを奇貨として、不正を行うために地方公社や第三セクターを設立するような地方公共団体も出てくる恐れがある。
このように、地方公社や第三セクターは、多くの問題点を抱えており、その是正のためには、民主的コントロールを及ぼす必要がある。
住民訴訟の制度趣旨は、①地方公共団体の財務会計行政の適法性の確保(客観法秩序の適正確保)、②地方公共団体の財産上の損失を防止する、③住民参加の促進という三点である(村上順・白藤博行・人見剛編「新基本法コンメンタール地方自治法」(日本評論社)337ページ以下)。本件訴訟は、②地方公共団体の有する株式価値の回復を図るとともに、①違法行為が行われた地方公社のガバナンスを正し、③民主的コントロールを及ぼす必要性の高い地方公社に民主的コントロールを及ぼすというまさしく住民訴訟の制度趣旨に適った訴訟である。
被告が、「違法若しくは不当に…財産の管理を怠」(地方自治法242条1項)っていることは明白であることから、速やかに請求の趣旨のとおりの判決を下し、違法状態を是正されたい。
以 上 
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