【主張・判決紹介】住民訴訟と情報公開請求
東京高等裁判所第4民事部は、渋谷オンブズマンが渋谷区に逆転勝訴した行政文書不開示決定処分取消請求控訴事件(平成22年(行コ)第191号)の判決文の中で、住民訴訟と情報公開請求について、「住民訴訟は、住民の地方公共団体の財務会計上の行為についての違法支出等を防止するために法律で特に認められた参政権の一種であり、その原告は、住民全体の利益のために公益を代表して訴訟活動をおこなうものである」と明確に判示している。
以下、判決文の抜粋である。
渋谷区情報公開条例第4条には「この条例の規定により公文書の公開を請求しようとするもの(以下「公開請求者」という。)は、公文書の公開を請求する権利を濫用することなく、この条例の目的に即し、適正な請求に努めるとともに、公文書の公開を受けたときは、これによって得た情報を適正に使用しなければならない。」と規定する。
そして渋谷区は、渋谷オンブズマンは本件各公開請求は、いずれも別件住民訴訟(ホライゾン学園事件)の遂行のために行っているのであり、訴訟が係属している以上、当該住民訴訟で争点となっている財務会計行為に係る情報を求めることはもはや本件条例の目的のらち外にあり、渋谷オンブズマンの本件各請求は公開請求権を濫用するものであり許されない旨主張する。
しかしながら、渋谷区情報公開条例に基づく区民からの公文書の公開請求において、公開請求者の特定及び公開請求の対象となる公文書の特定を手続要件とし(本件条例8条)、前記のとおり請求理由を手続要件とはしていないのである。このように請求理由を手続要件とはしていないのは、区民の知る権利を保障するとともに、区が区政に関し区民に説明する責任を全うするという本件条例の目的(本件条例1条)に照らせば、区民からの公文書公開の請求につき、その請求理由に問わず広く公開するという趣旨によるものであると解するにが相当である。そして、渋谷オンブズマンの請求理由が別件住民訴訟における情報を収集する目的の下にするものであったとしても、住民訴訟は、住民の地方公共団体の財務会計上の行為についての違法支出等を防止するために法律で特に認められた参政権の一種であり、その原告は、住民全体の利益のために公益を代表して訴訟活動をおこなうものであること(最高裁昭和51年(行ツ)第120号同53年3月30日第一小法廷・民集32巻2号485頁参照)からすれば、渋谷オンブズマンが上記の目的の下に本件公開請求を行ったとしても、これをもって、同請求権の行使が権利の濫用に当たるということはできない。
したがって、渋谷区の主張は採用することができない。
以下、判決文の抜粋である。
渋谷区情報公開条例第4条には「この条例の規定により公文書の公開を請求しようとするもの(以下「公開請求者」という。)は、公文書の公開を請求する権利を濫用することなく、この条例の目的に即し、適正な請求に努めるとともに、公文書の公開を受けたときは、これによって得た情報を適正に使用しなければならない。」と規定する。
そして渋谷区は、渋谷オンブズマンは本件各公開請求は、いずれも別件住民訴訟(ホライゾン学園事件)の遂行のために行っているのであり、訴訟が係属している以上、当該住民訴訟で争点となっている財務会計行為に係る情報を求めることはもはや本件条例の目的のらち外にあり、渋谷オンブズマンの本件各請求は公開請求権を濫用するものであり許されない旨主張する。
しかしながら、渋谷区情報公開条例に基づく区民からの公文書の公開請求において、公開請求者の特定及び公開請求の対象となる公文書の特定を手続要件とし(本件条例8条)、前記のとおり請求理由を手続要件とはしていないのである。このように請求理由を手続要件とはしていないのは、区民の知る権利を保障するとともに、区が区政に関し区民に説明する責任を全うするという本件条例の目的(本件条例1条)に照らせば、区民からの公文書公開の請求につき、その請求理由に問わず広く公開するという趣旨によるものであると解するにが相当である。そして、渋谷オンブズマンの請求理由が別件住民訴訟における情報を収集する目的の下にするものであったとしても、住民訴訟は、住民の地方公共団体の財務会計上の行為についての違法支出等を防止するために法律で特に認められた参政権の一種であり、その原告は、住民全体の利益のために公益を代表して訴訟活動をおこなうものであること(最高裁昭和51年(行ツ)第120号同53年3月30日第一小法廷・民集32巻2号485頁参照)からすれば、渋谷オンブズマンが上記の目的の下に本件公開請求を行ったとしても、これをもって、同請求権の行使が権利の濫用に当たるということはできない。
したがって、渋谷区の主張は採用することができない。
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