【羽澤ガーデン】建物解体禁止命令、樹林伐採禁止命令を東京都と渋谷区に求めて提訴

9月16日、羽澤ガーデンの保全を求める近隣住民を中心とする原告団は、羽澤ガーデンの建物解体禁止命令、樹林伐採禁止命令を東京都と渋谷区に発するように求めて提訴した。義務付けの行政訴訟である。
4年間争っている、開発許可差し止めの行政訴訟の審理内容が、ここで生かされることになるであろう。
以下、訴状と9月16日の東京地裁司法クラブでの記者会見の様子である。


訴状

平成23年9月16日
東京地方裁判所 御中

当事者の表示  別紙当事者目録のとおり

 行政事件訴訟法第38条1項、同19条1項に基づく請求の追加的併合事件
(関連訴訟は、東京地方裁判所平成19年(行ウ)第648号開発許可処分差止等請求事件、同20年(行ウ)第105号、同118号、同505号、同587号訴えの追加的併合申立事件として、貴庁民事第38部において係属中)

原告ら訴訟代理人 弁護士  斉藤 驍

同        弁護士  高橋崇雄

同        弁護士  藍谷邦雄

同        弁護士  虎頭昭夫

同        弁護士  田中公人

同        弁護士  升味佐江子

同        弁護士  森近 薫

同        弁護士  富田 裕

同        弁護士  島 昭宏
ほか

請求の趣旨

1(1)処分行政庁東京都教育委員会は、別紙物件目録記載の建造物およびこれと一体をなす庭園を文化財保護法第110条による史跡名勝として仮指定せよ。
(2)同処分行政庁は、上記処分と併行して、上記建物を所有する訴外株式会社日山(東京都中央区日本橋人形町2丁目5番1号所在 以下「日山」という)、マンション開発事業者訴外三菱地所レジデンス株式会社(東京都千代田区大手町1丁目5番1号所在 以下「三菱地所」という)、および工事事業者訴外大成建設株式会社(東京都新宿区西新宿1丁目25番1号新宿センタービル所在 以下「大成建設」という)らに対し、
① 上記建物を解体する等してその現状を変更してはならない
② 変更に及んだ場合は直ちに原状回復をしなければならない
との命令を発せよ。
2 処分行政庁東京都知事は、日山、三菱地所および大成建設に対し、別紙目録記載の建物について、除却その他の現状変更を禁止する命令を発せよ。
3 処分行政庁渋谷区長は、別紙物件目録記載の建物の解体および同目録記載の土地上における樹木の伐採等土地の形質の一切の変更を禁止する命令を発せよ。
4 訴訟費用は被告らの負担とする。
との裁判を求める。

請求の原因

第1 請求の趣旨1の請求について(文化財保護法関連)
1.別紙物件目録記載の建造物とその庭園について
  別紙物件目録記載の建造物とこれと一体となる庭園は、「羽澤ガーデン」と呼ばれ、都心唯一の第一種低層住宅地である渋谷区広尾の丘の南側斜面にある。約3千坪の庭には鬱蒼たる森があり、本館は大正4年に建築された武家造りでありながら、マントルピースの洋間や欧州産のガラスを多用したモダニズムが漂い、明治・大正・昭和初期を代表する近代和風建築と言われている。これは満鉄総裁、東京市長等を歴任し、夏目漱石の無二の親友であった中村是公の旧邸である。第二次大戦後、GHQの注目するところとなり、各国大使を含め、その妻女に日本文化を伝えるカルチャーセンターとなった。その後昭和25年より料亭となり、「羽澤ガーデン」と称するようになった。
  この近代和風の建築と庭を活かした料亭は、将棋や囲碁の名人戦の舞台となったばかりでなく、歴代総理大臣を始め、各界の知名の士から市井の人に至るまで、数多の人々の交流と懇親の場となっていた。
  羽澤ガーデンの建物と庭、そしてこれを包む羽澤の町の景観と文化の質は極めて高く、それゆえに周辺住民にとっても、また訪れる人にとってもかけがえのないものであった。その詳細は、上記5件の関連訴訟(以下まとめて「本案」という。)で裁判所に提出された羽澤ガーデン現場検証に係る鑑定書(本案の甲178)および原告第35準備書面に詳細に記されている。
  したがって、この建物と庭は文化財保護法第27条のいう重要文化財であるばかりでなく、同法第14条のいう重要な史跡、名勝にも該当する。

2.以上の経過から、重要文化財、特別史跡名勝の指定がなされることもまた裁判において確認され、開発が違法であると断ぜられる可能性が充分生まれてきた。その危機感のせいもあろう。日山と三菱地所および大成建設は、鑑定が公表された直後から秘かに建物の解体と樹木の伐採、庭の取り潰しの準備を進め、7月7日、旧是公邸の登記は当然のことながら「居宅」であったものを、にわかに「倉庫」と書き換えて偽装し、あたかも建物が重要文化財とは程遠い倉庫でしかないのだという演出等、建物解体のための言動を公然化させつつ、ついに8月5日、被告渋谷区に対して「建物解体計画書」なるものを提出して、本年10月3日より解体工事に着手することを表明した。この全貌を我々が知ったのはごく最近のことである。
かけがえのない羽澤ガーデンの建物と庭を取り潰すことは、これ自体文化財保護法、都市計画法等から見て到底許されないことである。今まで述べてきた経緯、および本案における裁判所の検証という重大な手続と、それによりなされた鑑定結果の存在に対抗して行われようとしているこの建物解体工事は、不法かつ犯罪的なものというほかはない。しかも木造建築物の解体や樹木の伐採がなされてしまえば、瞬時にこれらの文化と景観が失われ、元に戻すことは不可能である。
一方、今回の政権交代、地震、原発事故の影響等により、文部科学大臣の指定を得るにはまだ時間がかかる。
 
3.この事案は、放置すればかけがえのない文化財が喪われるという緊急の事態であるから、処分行政庁東京都教育委員会は、文化財保護法第110条の文化財を保全する措置、すなわち羽澤ガーデンを史跡名勝として仮指定する旨を所有者日山に対して命ずるとともに、破壊から守るために同法125条を準用し、解体破壊作業をしようとしている三菱地所、大成建設、日山らに対し、請求の趣旨1に記載のとおりの現状変更禁止の命令をなすべき義務がある。
 
4.なお、本件の原告適格については、本案ですでに述べているところであるが、若干補論する。
(1)健康と文化は、人間が人間として生活し、生きてゆくための最も基本的な条件かつ権利であることは、憲法第25条をひくまでもなく、都市計画法、環境法、文化法の基本となっている(都市計画法第2条(理念)、環境基本法第16条(環境基準)等)。一方、環境は健康と文化の基礎であるとともに、その目的ともなっている。
   したがって、健康と文化・環境を総合的有機的にとらえるべきであり、この視点から原告適格や処分の実体的判断をなすべきことを本案において述べてきた。この点に関する法律上の利益を考える場合、特にこの視点が大切である。
(2)法律上の利益は、公益と私益、一般的と個別的、抽象的と具体的と一応区別出来る。しかしこの区別は、あくまでも相対的なものに過ぎない。2つのそれぞれの利益はつながっているのである。
人間の基本的権利である文化的利益のなかには、文化の結晶ともいうべき文化財を五感により享受する利益が存在することはいうまでもない。この文化財の享受は、今述べたとおり、知識や観念も大切であるが、何よりも五感で総合的に感得するものである。この場合、例えば法隆寺のある斑鳩の里の住民は、日々寺の鐘に象徴される文化財たる法隆寺独特の文化空間で生活を営んでいるから、その享受する文化は偶々訪れる人とはおのずから大きな違いがあることは当然である。日々の生活体験と密着した文化財の存在は、その人々の生活環境の内実と化するのであり、周辺住民すなわち固有の文化財空間に生活する人々の文化的利益は、特別に深いものがある。これは、文化財の普遍性、公共性と何ら矛盾するものではないことをよく理解すべきである。
本件の原告らがそのような住民達であることは、すでに明らかにしている。
   「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」(正岡子規)

第2 請求の趣旨2の請求について(景観法関連)
別紙物件目録記載の建造物は景観建造物でもあることは、第1に記載したとおりであり、これについてはすでに本案で景観法第19条による景観建造物指定を東京都知事に対し、請求原因を具体的に示し、求めてきたところである。しかし、この建造物とこれと一体となった庭が喪われれば、指定することが出来なくなる。
したがって、指定の義務付け請求を可能かつ実効ならしめるために、請求の趣旨2に記載のとおり、景観法22条1項により、建造物等の除却その他の現状変更の禁止を命ずることを処分行政庁東京都知事に対して求めるものである。

第3 請求の趣旨3の請求について(都市計画法、開発許可処分関連)
 これは、本案の開発許可差止請求の一部になっているものである。したがって、その違法性等については繰り返さない。
  ただ、文化財を破壊するような開発、特にかけがえのないといわれる重要な文化財を破壊してマンション開発をすることは、都市計画法等の開発規制以前の問題である。
  羽澤ガーデンの建物を解体し、庭および4,380平方メートルも存在する樹林を切り払い、土地の形質を一変させることは、まさに開発行為の着手である。しかしこの破壊と開発を故意に切り離し、開発の違法を隠蔽するおそれがあるので、予備的追加的請求を請求の趣旨3記載のとおり行うものである。
  なお、この命令を行う根拠となる法令は都市計画法第81条(監督処分等)であり、同法上は知事の権限であるが、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例第2条の表第七号イ(20)により、渋谷区が権限を有する。
以上

羽澤記者会見 031




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タヌキ 原宿の住宅街に

http://b.hatena.ne.jp/entry/69117469

発見された現場はJR原宿駅から北東に約1キロの住宅街だが、近くには明治神宮御苑や代々木公園の林などもある。原宿署はこうした場所に生息していた野生のタヌキとみており、同署幹部は「夜間にエサを求めてまちに出て、迷子になったのでは」。今後、都心部から離れた山林に連れて行き、野生に戻すという。
http://b.hatena.ne.jp/entry/69136153
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