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【情報公開】原宿団地関係書類の一部非公開決定処分取消訴訟

一昨日紹介した、原宿団地関係書類の一部非公開決定処分取消訴訟の請求原因が詳述してある準備書面を入手したので紹介する。
今や、行政訴訟、国賠訴訟のエキスパートに成長した本間久雄弁護士は、渋谷オンブズマンのホープである。
以下、準備書面である。


第1 はじめに
被告は、訴状別紙マーカー部分(以下、「本件非公開情報」という。)が、東京都情報公開条例(以下、「本件条例」という。)7条2号、7条3号の非開示情報に該当し、処分行政庁の処分は、正当なものであると主張している。 しかしながら、被告の主張は、以下に述べるとおりいずれも失当である。

第2 本件条例7条2号非該当性
1 被告の主張
被告は、本件非公開情報が、以下の二つの観点から、本件条例7条2号に該当すると主張している。

①「個人に関する情報で特定の個人を識別することができるもの」(以下、「個人識別情報」という。)に該当する。
②「公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」(以下、「利益侵害情報」という。)に該当する。

しかしながら、被告の本件条例7条2号に関する主張は、以下に述べるとおり、いずれも失当である。

2 本件非公開情報は、個人識別情報に該当しないこと
被告は、区分所有者の氏名(及び各人の専有部分床面積)は、不動産登記情報により誰でも容易に知ることができることから、上記情報は、区分所有者集団の情報というだけでなく、区分所有者個々人が識別できる個人情報にあたるなどと主張している。
しかしながら、被告も述べているとおり(答弁書12ページ)、平均還元率とは、旧マンションの区分所有者が取得し得る新マンションの専有面積の旧マンションの専有面積に対する比率をいい、建替えをすると、差金を払うことなしに、どの程度の広さの住居を新マンションに取得できるかを区分所有者が知る目安に過ぎない。旧マンションの区分所有者は、皆が差金を支払うことなく平均還元率にしたがった部屋を新マンションに取得するわけではなく、増床負担金を支払って部屋を拡張する者や清算金を貰って旧マンションの部屋と比べて小さい面積の部屋を取得する者も出てくる。実際、原宿団地地権者向けの説明資料(甲3号証)にも、地権者が様々な面積の部屋を取得することを前提とした資料がある。
したがって、本件非公開情報は、区分所有者個々人が識別できる個人情報に該当しないことは明らかである。

3 本件非公開情報は、利益侵害情報に該当しないこと
(1)被告の主張
被告は、平均還元率が個々の区分所有者(組合員)にとって重要な財産上の情報であることには変わりはないことから、利益侵害情報に該当するなどと主張している。
(2)利益侵害情報型の規定は、限定して解釈されなければならないこと
しかしながら、本件条例7条2号前段のような個人識別型規定は、元来、この規定の保護法益であるプライバシーの保護の万全を期するため、プライバシーにあたるものはもとよりプライバシーであるかどうか不明確なものについても、個人識別性を基準として、その保護をはかったものである。つまり個人識別型規定は、もともと本来の保護法益よりも、広くその範囲をとるものであるが、本件条例7条2号後段のような利益侵害情報型の規定は、さらにその範囲を広げるものである。したがって、利益侵害情報型の規定の適用は情報公開原則の観点からは、相当に慎重でなければならない。
そもそも、利益侵害情報型の規定(本件条例では7条2号後段、情報公開法では5条1号後段)の趣旨は、「行政機関が保有する個人情報の大部分は特定の個人を識別することができる情報(個人識別情報)であり、これを不開示とすることで、個人の権利利益の保護は原則的には十分であると解されるが、仮に個人識別性のない個人情報であっても、公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあるものがあれば、これを不開示とする合理的な必要性が認められるので、補充的に、不開示情報として明示したものである。」とされていた(総務庁行政管理局情報公開法制定準備室「行政機関の保有する情報の公開に関する法律案(仮称)」説明資料(平成11年12月12日))。
したがって、このような趣旨に鑑みれば、利益侵害情報型の規定の適用は、匿名の作文や、無記名の著作物など「個人の人格と密接に関連したり、公にすれば財産権その他個人の正当な利益を害する恐れがある」(総務省行政管理局編「詳解情報公開法」48ページ)と認められる場合に限定されるべきである。神奈川県情報公開審査会も利益侵害情報型の規定の適用について、以下のような答申を出している(神奈川県公開審平成15年8月4日 事例集184-5・1)。

「『特定の個人を識別することはできないが、公開することにより、個人の権利利益を害するおそれがあるもの』とは、次に掲げるものを指し、これらの情報に限定して非公開とすることができる旨を規定したものと解される。
a 個人識別性のある部分を除いた反省文やカルテなど個人の思想、心身の状況等に関する情報であって、個人の人格と密接に関連するために、公開することにより、当該個人の権利利益を害するおそれがあると認められるもの
b 無記名の個人の著作物等に係る人格権・財産権を害するおそれがあると認められるもの」
なお、上記の利益侵害情報型の規定の問題点について論じている書証を提出する(甲4号証ないし甲6号証)。
(3)本件非公開情報は、利益侵害情報に該当しないこと
前述のように、平均還元率とは、旧マンションの区分所有者が取得し得る新マンションの専有面積の旧マンションの専有面積に対する比率をいい、建替えをすると、差金を払うことなしに、どの程度の広さの住居を新マンションに取得できるかを区分所有者が知る目安に過ぎない。したがって、個人の人格的利益に関連する情報ではない。また、本件の平均還元率は、被告がプレスリリースした情報(甲7号証。「住戸数(現マンション)112戸(平均35.38平方メートル)→(再建マンション)222戸(平均76.52平方メートル)からある程度推測できるものであるし、他のマンション建替え事例においても、一般に公表されており(甲8号証、甲9号証)、本件情報が公開されたとしても、個人の権利利益が侵害されるとは到底考えられない。
したがって、本件非公開情報は、利益侵害情報に該当しない。
4 小括
したがって、本件非公開情報は、個人識別情報でも利益侵害情報でもなく、本件条例7条2号に該当しない。

第3 本件条例7条3号非該当性
被告は、平均還元率が開示されることは、新マンションの原価等を推測させることになり、他のディベロッパーとの競争上不利益を受けることになり、本件非公開情報は、本件条例7条3号のいわゆる法人等情報に該当するなどと主張する。
しかしながら、最高裁平成13年11月27日判決(集民203号783ページ)は、法人等情報の解釈について、「(法人等情報とは)単に当該情報が「通常他人に知られたくない」というだけでは足りず、当該情報がが開示されることによって当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益が害されることを要すると解すべきであり、また、そのことが客観的に明らかでなければならない」と判示している。そして、本件情報が法人等情報に該当するか否かは、上記最高裁判決に則り判断されなければならない。
被告は、平均還元率は、区分所有者の所有する敷地をいくらと評価するのか、新マンションの品質をどの程度にするか、新マンションの原価としていくらの事業費を負担するかなどに係る情報であり、ディベロッパーとしての建替ノウハウにかかわる重要な事業情報であるなどと主張する。
しかしながら、平均還元率は、マンションの立地条件(周辺の地価、マンションの余剰容積率等)や買い取り時点における不動産市況という外部的な要因によってほぼ決定され(甲10号証の論文では、マンション建て替えの資金計画の成否は、余剰容積の有無であると述べている(244ページ))、被告の主張するような敷地の評価(敷地の評価は、路線価・公示価格等で客観的に推測できるものであり、事業ノウハウとはいえないであろう。)、新マンションの品質(新マンションの品質をどの程度にするかは、マンションの地権者との話し合いで決定されるものであり、事業ノウハウとはいえないであろう。)、新マンションの予定事業費等の事業ノウハウが害される恐れは考えられない。
上記最高裁判決も、学校法人が県に提出した施設整備補助金交付申請書に添付された学校法人の前年度収支計算書及び貸借対照表の大科目部分等の開示決定が争われた事案であるが、大科目部分の開示では、原告独自の経営上の秘密やノウハウ等を看取することは困難であると判示している。そして、本件も同様に、平均還元率という種々の要因が組み合わさって算出される数値(種々の要因といいつつも、前述のように余剰容積率やその時々の不動産市況という外部的要因によってほぼ決定される)の開示によって、ディベロッパー独自の経営上の秘密やノウハウを看取することは極めて困難であるといえる。
それゆえ、平均還元率を開示しても、被告が述べるような弊害がないからこそ、多くのマンション建て替え事例で、平均還元率が公開されているのである(甲8号証、甲9号証)。
したがって、本件非公開情報が開示されても、参加組合員の競争上の地位その他正当な利益が害されることが客観的に明らかであるとはいえず、本件非公開情報が、本件条例7条3号に該当しないことは明白である。

第4 結語
以上のとおり、本件非公開情報は、本件条例7条2号、本件条例7条3号のいずれにも該当せず、原則どおり(本件条例7条柱書)、公開されなければならない。

以 上
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