【国賠訴訟】渋谷区の控訴に対して、附帯控訴で対抗

渋谷オンブズマンは、笹塚中学給食記録書換事件に関して国賠訴訟を提訴したが、東京地裁は渋谷区の違法性を一部認容し、損害賠償を命じた。
ところが渋谷区は、この判決を不服として控訴したので、渋谷オンブズマンも附帯控訴で対抗することとした。以下、附帯控訴状である。


損害賠償請求事件
訴訟物の価額 34万5000円
貼用印紙額 4500円

 上記当事者間の東京高等裁判所平成24年(ネ)第5127号損害賠償請求控訴事件について、被控訴人(附帯控訴人)は、控訴に附帯して同控訴事件の第一審東京地方裁判所平成23年(ワ)第8138号損害賠償請求事件について、同裁判所が平成24年7月10日に言い渡した判決に対して控訴を提起する。

第1 附帯控訴の趣旨
1 原判決中、附帯控訴人敗訴部分を取り消す。
2 附帯被控訴人は、附帯控訴人に対し、40万円及びこれに対する平成21年12月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は、1、2審とも附帯被控訴人の負担とする。

第2 附帯控訴の理由
1 原判決は、附帯被控訴人が、附帯控訴人に対して支払うべき損害賠償金を5万5000円であると判示した。
   しかしながら、原判決の上記認定は、従前の情報公開制度に関する国家賠償請求事件の裁判例と比較して、余りにも低額すぎる。

2 従前の情報公開制度に関する国賠判決
(1)秋田地裁平成9年3月27日判決(判例地方自治168号50ページ)
公開決定後長期間(112ないし232日)公開の実施を怠ったことについて「本件各不作為は、単に業務多忙のために公開が遅れたという性質のものではなく、本件条例の趣旨からはずれた目的の下で行われた人為的、集団的な行為であると評価され、違法であることは明らかであり」、故意ないしは過失も明らかに認められるとして、損害賠償請求を認容した。
その慰謝料額については、「原告の具体的な公文書公開請求権は、前記認定のとおりの各不作為により、予算の執行状況などの県政に対する情報の適時かつ正確な把握が阻止される形で侵害されたものであり、これにより、原告は、県政に対する基本的な信頼を裏切られ、また、公文書の公開を実現するための労力、経費など通常不要な負担を相当程度負ったものと認められるから、慰謝料をもって填補すべき損害が発生したものとみるのが相当である」とした上で、「右の権利侵害は公正な行政運営の確保等の見地から軽視できないものである」として、「個人生活に直結する要素に具体的な影響を及ぼすものではない」ことを考慮しても、20万円が相当であるとした。また弁護士費用については十万円を認容している。
(2)大阪地裁平成17年6月27日判決(判例時報1909号60ページ)
情報公開条例により第三セクターの文書の開示請求をした件につき、非公開決定を違法であるとしたうえ、損害賠償として慰謝料10万円、弁護士費用10万円を認容した。
(3)東京地裁平成18年10月2日判決(甲16号証)
情報公開法に基づく行政文書開示請求に対して文書不存在を理由とする不開示決定をしたことについて、不開示決定をした九州大学(国立大学法人法施行前)の職員及びこれに関与した文部科学省の職員に国家賠償法上の違法行為があったとして、国立大学法人九州大学及び国に対する国家賠償請求を認め、慰謝料30万円及び弁護士費用10万円を認容している。
(4)東京地裁平成22年10月22日判決(判例地方自治343号30ページ)
原告と同じく渋谷オンブズマンに属する堀切稔仁が、渋谷区長に対し、渋谷区情報公開条例に基づき、区長車及び議長車のガソリン代に係る文書の公開を請求したところ、渋谷区長が、当該公文書が存在するにもかかわらず、当該公文書は存在しないとして非公開決定を行ったこと及び同処分において附記された理由が不十分であったことが違法であると主張して、附帯被控訴人に対し、国賠法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めた事案。慰謝料10万円及び弁護士費用5万円を認容している。

3 本件の場合、
①渋谷区教育委員会は、附帯控訴人の情報公開請求があった後に、請求対象文書を書き換え、情報公開請求当時に存在した文書を開示せずに、書き換えた文書を附帯控訴人に開示した。渋谷区教育委員会の行為は、「区民の知る権利を保障するとともに、区が区政に関し区民に説明する責務を全うする」ことを目的とした本件条例1条の目的に反し、情報公開制度そのものを根底から没却する行為であるばかりか、虚偽公文書作成罪及び同行使罪の構成要件該当性を強く疑わしめる行為であり、過去の違法性が認められた事例と比較しても、渋谷区教育委員会の行為の悪質性は顕著である。
②附帯控訴人は、渋谷区教育委員会に対して、情報公開文書の不審点について数回にわたり説明を求めたが、渋谷区教育委員会は、これだけの行為を行っておきながら、附帯控訴人の説明要請を全て黙殺している(訴状6ページ参照)、
③附帯被控訴人は、過去にも、附帯控訴人が所属する市民団体「渋谷オンブズマン」のメンバーに対し、情報公開請求に関し不法行為を行った(2項(4)の判決)など、情報公開制度をないがしろにするような態度が顕著であるというような事情がある。
したがって、過去の情報公開請求に関する国家賠償事例と比較して、原判決の認容額は、余りに低額すぎるため、原判決は破棄を免れない。

以 上
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