【国賠訴訟】笹塚中学給食記録の書換開示事件の控訴審

昨日(10月1日)、東京高裁において、笹塚中学給食記録の情報公開請求に対して、渋谷区教委が書き換えて(改竄)して公開したことに対する国賠訴訟控訴審の第1回目の法廷が開かれた。
第1審では、渋谷オンブズマンが勝訴し、渋谷区教委が給食記録を書換えて公開したことの違法性が認定され、損害賠償金等5万5000円の支払いが命じられたが、渋谷区教委はこれを不服として控訴していた。
被控訴人(渋谷オンブズマン)側が、陳述書を提出することとなったので、控訴審は続行される。

以下、被控訴人(渋谷オンブズマン)の答弁書である。



答 弁 書

平成24年10月1日

東京高等裁判所第9民事部 御中

被控訴人訴訟代理人弁護士 本  間  久  雄

第1 控訴の趣旨に対する答弁
1 本件控訴を棄却する。
2 訴訟費用は、第1審、第2審とも控訴人の負担とする。
  との判決を求める。

第2 控訴の理由に対する答弁
1 はじめに
平成24年9月11日付で控訴人より控訴理由書が提出された。控訴人の控訴理由は、いずれも原審の主張の繰り返し、若しくは原審の主張を若干敷衍するものに過ぎず、敢えて反論するまではないと思われるものの、なお念のため、必要に応じて被控訴人の反論を展開していく。

2 本件公開決定に本件条例違反がないとの主張に対する反論
(1)控訴人の主張の概要
控訴人は、本件公開決定に本件条例違反がないとし、その理由として①被控訴人が開示を求めた公文書は本件訂正記録であること、②本件訂正記録を開示することについて、被控訴人は、黙示の同意をしていた若しくは事後的に追認したなどという点を挙げている。
しかしながら、控訴人の主張はいずれも失当である。

(2)被控訴人が開示を求めた公文書は本件訂正記録であるとの主張に対して
控訴人は、①平成21年10月9日、被控訴人が教育委員会を訪問してその誤りを指摘して真実は何かを問いただした、②前同日、教育委員会の職員は、被控訴人に対し、本件訂正記録が作成中であることを説明した、③平成21年10月10日、被控訴人は、学校給食の記録を情報公開請求した、という三点をもって、被控訴人が開示を求めた公文書は、本件当初記録ではなく、本件訂正記録であると主張している。
しかしながら、①③の事実は、被控訴人が、本件訂正記録を求めた根拠になり得ない上、③の事実は、被控訴人が記憶にないと否認しているにも関わらず、控訴人は、陳述書のみでしか立証できておらず、証明不十分である。
被控訴人が、平成21年10月10日に情報公開請求したのは、本件当初記録を一部しかもっていなかったため、本件当初記録の全部を手に入れようとしたためである。そのため、平成21年10月10日に被控訴人が情報公開請求した公文書は、本件当初記録である。
控訴人は、被控訴人の挙動から、情報公開請求されていたのは本件訂正記録であるなどと主張しているが、情報公開請求書に、本件訂正記録と明確に記載されていない以上、開示請求権の行使という重要な法律関係の内容を明確にするために、情報公開の請求方法は、書面によらなければならないとしている本件条例8条の趣旨(総務省行政管理局「詳解情報公開法」(財務省印刷局・2001)32ページ参照)から、被控訴人の挙動に基づき、情報公開請求対象文書を本件訂正記録と解することは許されない(したがって、仮に、②の事実が存在したとしても、控訴人の主張は失当である。)。

(3)本件訂正記録を開示することについて、被控訴人は、黙示の同意をしていた若しくは事後的に追認したとの主張に対して
ア 控訴人は、アないしカの事情を掲げて、本件訂正記録を開示することについて、被控訴人は、黙示の同意をしていた若しくは事後的に追認したなどと主張している。
しかしながら、開示請求権の行使という重要な法律関係の内容を明確にするために、情報公開の請求方法は、書面によらなければならないとしている本件条例8条の趣旨(総務省行政管理局「詳解情報公開法」(財務省印刷局・2001)32ページ参照)から、黙示の同意若しくは事後的な追認を認めることは、極めて限定された場合に限られる。そして、本件の場合、控訴人の述べるアないしカの事情は、いずれも黙示の同意若しくは事後的な追認を認める事情にはなり得ない。
イ アの事情については、そもそも、区教委職員が、被控訴人に対し、本件訂正記録を作成中である旨説明した事実は、証明不十分で認められない。
イの事情については、被控訴人が、本件訂正記録取得のために対応をしなかったのは、平成21年12月4日にブログ記事を掲載した直後の平成21年12月11日に本件訂正記録が開示されたためである。
ウの事情については、被控訴人は、本件訂正記録が開示されたことについて奇異に感じたものの、取りあえず目の前にある本件訂正記録を受け取って、内容を精査しようと考えた。被控訴人は、ここで本件訂正記録を受け取らなければ、教育委員会の従前の行動に鑑みれば、またもやその内容が改竄され、二度と本件訂正記録を受け取れなくなる可能性があると思い、本件訂正記録を受け取ったのである。被控訴人の行動は、控訴人の違法・不当な行政運営の監視是正を目的とする渋谷オンブズマンの代表として当然の行動である。被控訴人が、本件訂正記録を受領したことは、本件当初記録に代わって本件訂正記録が開示されたことを同意したことを決して意味するものではない。
エの事情についても同様に、被控訴人は、本件訂正記録が開示されることに納得がいかなかったものの、ここで開示を受けなければ本件訂正記録がまたもや改竄され、行政監視ができなくなるものと考え、仕方なく手数料2020円を支払ったのである。
オの事情については、被控訴人が、受け取った本件訂正記録を一読したところ、その内容に不審点が多々あったため、被控訴人は、そのことを世間に速やかに公表しようとブログに乙6号証の記事を掲載した。記事に本件公開決定の対象が本件訂正記録であったことに疑問を呈していないからといって、被控訴人が、本件当初記録に代わって、本件訂正記録の公開を受けることに同意をした訳ではない(そもそも、被控訴人のブログの記事に、二つの話題(この場合であったら、本件訂正記録の不審点及び本件当初記録が開示されなかったことへの疑問)がのぼることはほとんどない。)。
カの事情については、被控訴人が、本件当初記録に代わって本件訂正記録が開示されたことに11か月の間、表だって抗議の声を上げなかったのは、本件訂正記録の内容に不審点が多々あり、分析に手間取ったためと、オンブズマンとして、本件訂正記録の不審点を区民に速やかに分かりやすく伝えることに全力をあげたためである。
ウ 本件訂正記録を開示することについて、被控訴人は、黙示の同意をしていた若しくは事後的に追認したとの控訴人の主張は、本件条例第8条の趣旨に反するばかりか、不法行為発生時に即座に不服を述べなければ事後的な追認によって、賠償請求は認められないとするものであり、民法724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)を無視する荒唐無稽な独自の主張である(そもそも、イで述べたとおり、被控訴人が、本件訂正記録が開示されたことに黙示の同意を与えたことはない。)。
したがって、控訴人の主張は失当である。

3 本件公開決定に国家賠償法1条1項の違法がないとの主張に対する反論
(1)控訴人は、控訴理由書8ページ①ないし⑦の事情を上げて、公務員が職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件処分をしたことはないなどと主張している。
しかしながら、②の事実は、証明されておらず、残余の事実も、前述の本件条例8条の趣旨及び総務省が平成13年に刊行した情報公開法のコンメンタール(甲17号証)が、「開示請求権は、あるがままの形で行政文書を開示することを求める権利」と述べていることに鑑みれば、情報公開請求書に本件訂正記録を求める旨の記載がないにも関わらず、「早とちり」をして、本件当初記録ではなく、本件訂正記録を開示した控訴人職員の注意義務違反の成立を妨げるものではない。
(2)控訴人は、控訴人職員には過失がない、悪質性はない、被控訴人には不利益はないと主張している。
しかしながら、前述の平成13年刊行の総務省の情報公開法のコンメンタール(甲17号証)には、「開示請求権は、あるがままの形で行政文書を開示することを求める権利」との記述があり、開示請求対象文書は、開示請求時に存在した文書であることは、情報公開請求実務において確立した解釈となっていた。したがって、控訴人職員に過失があるのは明白である。
被控訴人が本件当初記録を情報公開請求したのは、被控訴人が本件当初記録の一部しか入手していなかったため、情報公開請求により、本件当初記録の全部を入手しようと思ったからである。したがって、被控訴人には、本件当初記録の全部を入手できなかったという不利益がある。
そもそも、情報公開請求者が理由なく行政文書の開示を妨げられないという利益は、国家賠償法上の保護の対象となっており(甲16号証10ページ)、そのような被控訴人の利益(この被控訴人の利益は、憲法21条の知る権利に由来する重要な権利である(本件条例1条参照))を侵害した控訴人職員の行為に悪質性があることは勿論、(被控訴人が本件当初記録をどの程度所持していたかにかかわりなく)被控訴人に不利益が発生していたことは明白である。

4 被控訴人に損害が発生していないとの主張に対する反論
(1)控訴人は、被控訴人に金銭で慰謝すべき精神的損害が生じているとは到底認められないなどと主張している。
しかしながら、情報公開請求者が理由なく行政文書の開示を妨げられないという利益は、国家賠償法上の保護の対象となっている(甲16号証10ページ)。
本件においても、被控訴人は、情報公開請求していた本件当初記録の開示を受けられず、落胆するとともに、控訴人から今後正しい情報公開を受けられないのではないかと、不安感焦燥感に駆られた。また、今後の対応のため、弁護士と相談するなど、時間的経済的精神的負担を負った。
したがって、被控訴人に損害が発生していたのは明らかである。
(2)控訴人は、控訴理由書13ページ以下の①から⑥の事情を掲げて、被控訴人に精神的苦痛が発生していなかったなどと主張している。
しかしながら、被控訴人が本件訂正記録を受け取ったのは、ここで本件訂正記録を受け取らなければ、また記録を改竄されるのではないかと考えたためで、本件当初記録に代わる本件訂正記録の情報公開を受容する趣旨ではない。また、被控訴人が、本件訂正記録をオンブズマン活動に活用していたのは、あくまで結果論に過ぎないし、被控訴人が、不服申立て等をしなかったのは、本件訂正記録の分析や笹塚中学校給食問題の調査に時間を取られ、それらに集中せざるを得なかったからである。
したがって、控訴理由書13ページ以下の①から⑥の事情は、被控訴人に精神的苦痛が発生しなかったことを示す事情とはなり得ない。

5 結語
以上の次第であるから、控訴人の控訴理由はいずれも失当であり、原判決の判断は正当なものであり、控訴人の控訴は速やかに棄却されなければならない。                                

以 上
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No title

このように、頑張って下さっている事に感謝します。

政党の区議さんは動けないと言うばかり。

結局、何もしてくれません。

小さいけれど本当にどうすることもできない人の気持ちに寄り添って

くれる、頑張ってくれることに勇気を貰えます。

これからは、そんな区議さんが絶対必要です。

ほんとうに、ありがとうございます。

No title

改ざんした上に不服申し立て。

仕事の仕方に疑問の多い教育委員会。
大津の事件もあり、全国的にこのような体質なのか。と
あきれるばかりです。

さらに、区議たちも党派の立場、序列、しがらみの中で
おのれの欲望の実現のために、まず長いものに巻かれ
自身の言動、行動を正当化する。

自由な発言のできない苛立ち、そして自分の無能差を隠すために手を組み無所属を攻撃するのでしょうか。

オンブズマン、そして渋谷区議会に堀切議員は必要です。
応援しています。
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