【シブヤ大学】シブヤ大学事件住民訴訟の控訴理由書

13日(火)東京高裁において、シブヤ大学事件住民訴訟の控訴審が開かれたが、即日、結審した。
以下、控訴人・渋谷オンブズマンの控訴理由書である。

控 訴 理 由 書

平成24年11月13日

東京高等裁判所第21民事部 御中

控訴人ら訴訟代理人弁護士 本  間  久  雄

頭書事件の控訴理由は、以下のとおりである。

第1 原判決の内容
1 原判決は、被控訴人が肥後慶幸に対して責任追及等の訴えを提起しないことにつき、違法に財産の管理を怠るものということができないと判示した。
その根拠として、①本件損害賠償金相当額をシブヤ大学に対する仮払金として貸借対照表の資産項目に計上している、②渋谷サービス公社は、シブヤ大学から分割払いにより本件損害賠償金に相当する金額の第1回分を回収している上、その後回収努力をしなくなったという事情も認められない、③シブヤ大学は活動を継続しており、シブヤ大学が未収金の残額を支払うことができない状況にあるとは認められないという点を掲げている。
2 しかしながら、上記判示は、以下に述べるとおり、判決の結論に重大な影響を及ぼすような事実誤認があり、原判決は破棄を免れない。

第2 原判決の重大な事実誤認1~シブヤ大学に未収金の支払い能力はないこと~
1 証拠に基づかない認定
原判決は、何らの証拠に基づくことなく、シブヤ大学は活動を継続しており、シブヤ大学が未収金の残額を支払うことができない状況にあるとは認められないなどと認定をしている。
しかしながら、控訴人らが、東京都から情報開示を受けたシブヤ大学の平成21年度から平成23年度までの事業報告(甲12号証ないし甲14号証)を見ると、シブヤ大学は、未収金残額856万4746円(渋谷サービス公社が渋谷区に支払った940万3569円からシブヤ大学から弁済を受けた83万8913円を控除した金額)を支払えるような経営状況にないことは明らかである。
2 シブヤ大学の事業報告書
(1)2009年(平成21年)度事業報告書(甲12号証)
 ア 会計財産目録
現金預金が211万0260円のみであり、資産から負債を差し引いた正味財産は、69万3421円しかない。
 イ 会計収支計算書
当期収支差額が420万8273円であるものの、前期繰越収支差額(351万4852円)を差し引くと、69万3421円しか次期に繰り越せない。
(2)2010年(平成22年)度事業報告書(甲13号証)
 ア 会計財産目録
現金預金が450万6978円あるものの、資産から負債を差し引いた正味財産は、69万9089円しかない。
 イ 会計収支計算書
当期収支差額が5668円しかない。
(3)2011年(平成23年)度事業報告書(甲14号証)
 ア 会計財産目録
現金預金が48万3056円しかなく、正味財産は598万4758円ものマイナスとなっている。
 イ 会計収支計算書
当期収支差額が668万3847円もの大きな赤字となっており、次期には、598万4758円もの赤字を繰り越すことになっている。
3 シブヤ大学に返済能力がないこと
上記の事業報告書から明らかなとおり、シブヤ大学は、収支計算において、平成21年度には約420万円の黒字を計上しているものの(ただし、前年度の赤字を差し引くと約70万円の黒字となる。)、平成22年度には、僅か6000円程度の黒字、直近では、約600万円もの赤字を出している。
そして、シブヤ大学の正味財産は、良い年でも約70万円程度しかなく(甲12号証、甲13号証)、平成24年3月31日現在、シブヤ大学は、約600万円もの負債を抱えている(甲14号証)。
このように、シブヤ大学の事業を継続させ、その収益から未収金残額を弁済させるにしても、シブヤ大学には、年間の収入から通常必要な事業費・管理費を控除すると、殆ど利益が残らず(寧ろ数百万円単位の赤字を出す年すらある。)、シブヤ大学が、未収金残額856万4746円を渋谷サービス公社に弁済することはほぼ不可能である(シブヤ大学は、社会教育の推進、子どもの健全育成に関する普及、啓発事業、教育事業、講演会という営利性のない事業のみを行っており(甲12号証ないし甲14号証)、今後も、本件未収金を支払えるだけの収益を出す見込みはない。)。そして、渋谷サービス公社が、シブヤ大学の破産を申し立てるなどして、シブヤ大学の清算価値から未収金残額856万4746円の回収を図ろうにも、現状では、シブヤ大学の正味財産は、約600万円ものマイナスとなっており、シブヤ大学の精算により未収金の回収を図ることは、不可能である。
4 小括
以上より、原判決が、シブヤ大学は活動を継続しており、シブヤ大学が未収金の残額を支払うことができない状況にあるとは認められないなどと認定したことは、明らかな事実誤認である。
また、原判決は、渋谷サービス公社が、本件損害賠償金相当額を未収金として貸借対照表の資産項目に計上していることは、直ちに上記未収金を償却したり、引当金として計上したりすべきものとは解されないなどと判示しているが、上記のようなシブヤ大学の財務状況に鑑みると、上記未収金の回収はほぼ不可能である以上、上記未収金を償却したり、引当金として計上するなどの措置を取るべきことは明らかである。
なお、原判決は、シブヤ大学の渋谷サービス公社に対する83万8913円の一部弁済を重視して、渋谷サービス公社に損害(未収金回収不能)が発生していないとの結論を導いているが、請求日(平成23年12月5日)、支払日(平成24年1月25日)から、この一部弁済は、監査請求対策・住民訴訟対策の点からなされたものであることは明らかであり(シブヤ大学は、約600万円もの赤字を来期に繰り越すことになることが分かっていながら、83万8913円も支払っている。)、本件住民訴訟が原告ら敗訴のままで終わった後も、シブヤ大学が渋谷サービス公社に弁済を続けていくことは、担保徴求はおろか、債務弁済に関する書面すら一切作成されていない現状及びシブヤ大学の極めて劣悪な財務状況に照らすと、極めて疑わしい。

第3 原判決の重大な事実誤認2~渋谷サービス公社は、未収金回収努力を怠っていること~
1 原判決の認定
原判決は、渋谷サービス公社が、シブヤ大学から分割払いにより本件損害賠償金に相当する金額の第1回分を回収している上、その後回収努力をしなくなったという事情も認められない(=渋谷サービス公社は、未収金回収努力を行っている。)などと判示している。
2 原判決の認定は、取引社会の実情を無視していること
通常の取引社会では、債権者が、本件のような未収金の債権回収を図る場合、まず、債務者との間で債務弁済契約を締結したり、債務者に念書を差し出させる等して、債務の存在・支払方法を書面で明らかにするのが、債権者の取るべき通常の行動である。ところが、本件の場合、渋谷サービス公社とシブヤ大学との間には、債務弁済に関する書面が何ら作成されていない。
さらには、シブヤ大学のような弁済能力に疑問がある債務者の場合、債権者は、公正証書による債務弁済契約書を作成したり、代表者に個人保証させたり、代表者所有の不動産に抵当権を設定させるなど、債権保全措置を取るのが通常のところ、渋谷サービス公社は、そのような債権保全措置を一切取っていない。 このように、渋谷サービス公社は、取引社会において債権者として通常取るべき行動を一切取っていない(シブヤ大学に対し、債務弁済に関する合意を証する書面すら徴求していない。これでは、シブヤ大学が、渋谷サービス公社に対し、いつ、いかなる金額を支払っていくかが全く不明で、未収金の存在が曖昧になり、最悪の場合、未収金が時効消滅する可能性すらある。)にも関わらず、原判決は、渋谷サービス公社は、回収努力をしなくなったことはないなどと判示しており、原判決の認定は、取引社会の実情を完全に無視したものであり、経験則に違背している。
3 小括
したがって、渋谷サービス公社は、未収金回収努力を怠っていないとの原判決の認定は、取引社会の通常の経験則に違背し、事実誤認である。

第4 渋谷区長は、肥後慶幸に対し、責任追及等の訴えを提起すべきであること
1 原判決の規範
原判決は、地方公共団体の長において、提訴請求や責任追及等の訴えの提起をしないことが違法な怠る事実に当たるというためには、少なくとも、客観的に見て当該役員等の違法行為、当該株式会社の損害、提訴請求や責任追及等の訴えの要件の存在を認定するに足りる証拠資料を地方公共団体の長が入手し、又は入手しえたことを要するものというべきであるなどと判示している(原判決17ページ)。
そして、原判決の示す規範によっても、本件において、渋谷区長が、肥後慶幸に対し、責任追及等の訴えを提起すべきことは明らかである。
2 客観的に見て肥後慶幸の違法行為(善管注意義務違反(会社法330条・民法644条)・忠実義務違反(会社法355条))が明らかであること
渋谷サービス公社が、渋谷区神南分庁舎2階を使用するにあたっての、渋谷区から付された許可条件の中に、転貸禁止(「使用者は、使用財産を他の者に転貸してはならない。」)の条件が盛り込まれていた(甲2号証等)にも関わらず、肥後慶幸は、渋谷サービス公社の代表取締役として、渋谷サービス公社が、シブヤ大学に神南分庁舎2階を事務所として使用させることを意思決定した。
転貸禁止条項は、許可証に明記されていた上、行政財産が転貸禁止であることについては、渋谷区職員から渋谷サービス公社代表取締役に天下った肥後慶幸にとって重々承知していたことである。
それにもかかわらず、肥後慶幸が渋谷サービス公社の代表取締役として、渋谷サービス公社が、シブヤ大学に神南分庁舎2階を事務所として使用させることを意思決定したのであるから、肥後慶幸に善管注意義務違反・忠実義務違反があることは明らかである。
3 渋谷サービス公社に損害が発生したこと
シブヤ大学に弁済能力がなく、今後も弁済の見込みがないことは、第2で述べたとおりであり、渋谷サービス公社は、シブヤ大学に対する未収金を貸借対照表上「資産」に計上しているが、回収の見込みがないことから、「資産」とは到底評価できないものである。
したがって、渋谷サービス公社は、未収金残額856万4746円分の損害が発生している。
仮に、渋谷サービス公社とシブヤ大学との間で弁済の協定ができたとしても(現状では弁済の協定は一切なされていない。)、シブヤ大学の劣悪な財務状況から考えて、弁済は極めて長期間に亘るものと考えられる上、そもそも、シブヤ大学は、年間収益が殆どないばかりか、年間で約600万円もの赤字を出す年もある団体であるので、弁済協定どおりに弁済がなされる保証は全くない。そうであるならば、渋谷区の職員や渋谷サービス公社の代表取締役を長年務め、弁済能力に欠くことのないであろう肥後慶幸に対し責任追及等の訴えを提起することによって本件未収金を回収した方が、渋谷区の財産上の損失を短期かつ確実に回復できる。
4 提訴請求や責任追及等の訴えの要件があること
渋谷区は、渋谷サービス公社が設立された平成2年より一貫して渋谷サービス公社の株式を保有している上、渋谷区の責任追及等の訴えには、不当な利益を図る目的や渋谷サービス公社に損害を加える目的は一切ないことから、会社法847条所定の提訴請求や責任追及の訴えの要件があることは明白である。
5 小括
したがって、原判決の示す規範によっても、本件において、被控訴人が、肥後慶幸に対し、責任追及等の訴えを提起すべきことは明らかである。

第5 結語
原審平成24年6月28日付原告準備書面(3)6ページでも主張したとおり、渋谷サービス公社のような地方公社・第三セクターの場合、地方公共団体と同一視できるほどの公共的性格を持っていながら、民主的コントロールが及びにくい。
本件訴訟のような3号請求は、そのような地方公社・第三セクターに市民の民意を及ぼすほぼ唯一の手段であり、重要な意義を有する。
被控訴人が、「違法若しくは不当に…財産の管理を怠」(地方自治法242条1項)っていることは明白であり、控訴審におかれては、上記のような本件訴訟のもつ重要な意義に鑑み、速やかに原判決を破棄し、控訴の趣旨のとおりの判決を下されたい。

以 上
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comment

管理者にだけメッセージを送る

No title

裁判の文書は難しくって中々理解ができないけど、善管注意はわかったけど渋谷区は、理解してないから善良なる管理をしないのでしょう。

簡単に言うなら善良なる職員は、居ても発言の機会や立場が与えられていないか、恐怖政治みたいな人事におそれをなしているのが現状であろう。

朝礼暮改している桑原それに付随して、飴を嘗めてる自公のアホ議員と一緒に、飴をなめたい隠れ自民と隠れ民主の新民主だよ。

二元代表制を理解していないアホ!

No title

リアルタイムなお話し。

今朝、
「渋谷区シルバー人材センター」のビラが、
広範に撒かれていた。

この公益社団法人は今年、
某団体をトラブル団体として指定し、契約を更新せず、
よって、一般住民はこの件について、平穏を取り戻していた。

どんなトラブルがあったのかというと、
契約は、年契約で103万円であったのに、
某団体は、当該契約金は160万円だと住民を騙し、強制徴収していたのである。
「契約の無くなった現在でも、なぜか強制徴収されている。」と言う人も存在する。
私は某団体の会員でもないので、現在の詳しい事は分からないが、
この秘密を暴いた彼は、某団体と渋谷区から、今でも酷い攻撃を受けていると聞く。

沢山の相談があった。
今でも話題に出ることもあるが、
また火を付けられた感じである。

私も忙しい。余計な事をしないでくれ。




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