【ホライゾン学園】原告準備書面⑪

神宮前国際交流学級(ホライゾン学園)事件住民訴訟は、住民監査請求を提出して以来、実に4年8月の歳月が経て結審を迎えた。原告側、最終準備書面を数回に分けて紹介する。第11回目は、本件住民訴訟における渋谷区長桑原敏武及び渋谷区教育委員の「当該職員」該当性についてである。
以下、準備書面のその⑪である。


3 渋谷区長桑原敏武氏の「当該職員」該当性
(1)被告らは、本件許可処分は執行機関たる教育委員会が行ったことであり、桑原敏武氏は、損害賠償責任を負担する「当該職員」(地方自治法242条の2)に該当しないと主張する。
   確かに、本件許可処分は、教育財産の管理行為であり、その職務権限を法令上形式的に有しているのは教育委員会である(地方教育行政の組織及び運営に関する法律23条2号)。
しかし、その教育財産は、「地方公共団体の長の総括の下に教育委員会が管理する」ものとされており(同法28条1項)、教育財産の管理の適正を期するため職務権限を有しているのは地方公共団体の長である。
しかも、教育委員会を構成する各委員の任命権・罷免権は地方公共団体の長が有しており(同法4・7条)、「私立学校に関すること」については地方公共団体の長が、教育委員会を超越した固有の職務権限を有している(同法24条2号)。
以上からすれば、地方公共団体の長は、教育委員会を構成する各委員を支配する力を有しており、教育委員会が、地方公共団体の長の指揮命令あるいはその意向から独立して教育財産の管理を行うことはなく、むしろ地方公共団体の長の指揮命令あるいは意向を受けて教育財産の管理を行っているのである。
実際に、本件許可処分は、渋谷区長である桑原敏武氏が、トルコ共和国大使からの個人的な協力要請に応えて公共施設を提供するための方策を考えるよう教育委員会に指示を出し、教育委員会と一体となって「はじめに結論ありき」の決定をしたものである。
従って、教育委員会を構成する各委員のみならず、区長たる桑原敏武氏も「当該職員」に該当するのであり、本件許可処分による損害賠償責任を免れない。
(2)本件許可処分における使用料免除は渋谷区行政財産使用料条例5条を根拠とするものであるが(乙15)、同条は、「区長及び教育委員会は、次の各号の一つに該当する場合に使用料を減額または免除することができる」と規定しており、区長たる桑原敏武氏も使用料減免権限を有しているのであり、「当該職員」に該当することは明らかである。
従って、教育委員会を構成する各委員のみならず、区長たる桑原敏武氏も「当該職員」に該当するのであり、本件使用料免除による損害賠償責任を免れない。   
 4 教育委員会委員の「当該職員」該当性
被告らは、本件工事に係る支出は、区長の補助機関たる副区長や営繕課長が行っているものであるから、教育委員会を構成する各委員は、損害賠償責任を負担する「当該職員」(地方自治法242条の2)に該当しないと主張する。
   地方教育行政の組織及び運営に関する法律24条は、「地方公共団体の長は、次の各号に掲げる教育に関する事項を管理し、執行する。」と規定し、4号として「教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶこと」を、5号として「前号に掲げるもののほか、教育委員会の所掌に係る事項に関する予算を執行すること」を、挙げている。
   従って、学校建築のための請負契約、教育財産の取得、貸付、処分のための売買契約、賃貸借契約、教具・消耗品の売買契約などは、地方公共団体の長が行うことになる。また、上記契約に基づく支出も地方公共団体の長が行うことになる。
   しかし、4号は、地方公共団体の長に対し、独自に契約を締結する権限を与えたものではない。教育財産取得のための契約では、同法28条2項に規定する教育委員会の申し出を待って行わなければならず、その他の契約も、必要とする契約内容等を教育行政の見地から決定するのは教育委員会であり、長は、締結方法の決定、相手方の選定等を財務の見地から行い、自ら地方公共団体を代表とする名義人となって契約を締結することになる。 
校舎の整備に関することは教育委員会の所掌するところであり(同法23条7号)、請負契約の締結、教育財産の取得、予算執行は長の権限とされている。
  従って、学校建築を例にとれば、学校建築の意思決定、学校の位置の決定、校舎の配置計画、平面計画の作成等学校建築の一般的計画に関する事務は教育委員会が行い、予算編成、国庫負担金等の申請・受入、設計図・仕様書・工事予定価格調書等の作成、入札事務、建築確認申請、請負契約の締結、工事監督、研修、業者への支払、敷地買収、財産登記嘱託等は長が行うことになる。
本件の場合、神宮前小学校舎の一部をホライゾン学園に専用させ、運動場、体育館、プール、和室などを共用させること、校舎のどの部分を専用させるか、専用させるにあたってどのような構造(平面図の作成など)にするか等を決定したのは教育委員会である。
   従って、本件工事に係る工事請負契約の締結、及び、請負代金の支払が、区長の補助機関たる副区長や営繕課長が行ったとしても、区長ないしその補助機関が、独自の判断に基づいて行ったものではなく、教育委員会の上記事項に関する決定を受けた上で行われたものである。
しかも、ホライゾン学園に施設提供するための改修工事費は、もともとは神宮前小学校に在籍する児童のための多目的室の改修費として計上されていたにもかかわらず、本件許可処分に基づき、この予算を流用して本件改修工事費として支出したのである。
とすれば、平成18年度予算として計上されていた多目的室改修費の支出に関する財務会計上の行為は副区長や営繕課長が行ったとしても、これをホライゾン学園に施設提供するための本件改修工事費に流用させたのは区長であり教育委員会である。
よって、区長である桑原敏武氏のみならず本件許可処分を決定した教育委員会を構成する各委員も「当該職員」に該当するのであり、本件改修工事による損害賠償責任を免れない。

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