【ホライゾン学園】原告準備書面⑫

神宮前国際交流学級(ホライゾン学園)事件住民訴訟は、住民監査請求を提出して以来、実に4年8月の歳月が経て結審を迎えた。原告側、最終準備書面を数回に分けて紹介する。第12回目は、本件住民訴訟において監査請求期間徒過に「正当な理由」があることについてである。
以下、準備書面のその⑫である。


5 監査請求期間徒過に「正当な理由」があること 
(1)原告らは、平成20年6月30日付にて住民監査請求(以下「第1次監査請求」という。)を行っている(甲22)。
しかるに、被告らは、①19年許可から1年以上が経過していること、②施設工事整備費の支出負担行為(契約)、支出命令及び支出から1年以上が経過していることをもって適法な監査請求前置を欠くと主張する。
しかし、第1次監査請求が上記①②の事実から1年以上が経過した後になされたのには「正当な理由」がある(地方自治法242条2項)。
そもそも「正当な理由」とは、特段の事情がない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解されるときから相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断される。
被告らは、神宮前小学校の保護者を中心とした区民の理解を得るため、学校施設の一部を国際交流学級として使用するとともに、教育の場に困っているトルコ人の子供達を援助すると説明していた。
しかし、本件許可処分に基づく使用が実際に始まってみると、そこは、「教育の場に困っている」どころか高額の授業料を支払える裕福な家庭の外国人児童にのみ門戸を開く民間のインターナショナルスクール「ホライゾンジャパン・インターナショナルスクール・渋谷キャンパス」となっていた。しかも、国際交流学級とは名ばかりで、民間のインターナショナルスクールに学校施設を使用させるための名目にすぎないことが判明した。
そのため、不信に思った原告らは、平成19年3月29日付の行政財産使用許可書を情報公開請求したのである。
ゆえに、ホライゾン学園の使用料が免除となっていることを原告らが知ったのは、情報公開請求により上記許可書を取得した平成20年4月18日である。
また、ホライゾン学園に学校施設を使用させるために必要な整備工事を神宮前小学校の施設工事整備費を支出して行なった事実を原告らが知ったのも、工事契約書を情報公開請求し、これを取得した平成20年5月28日である。
原告らは、上記事実を知った後2ヶ月を経過しないうちに第1次監査請求をしたのであり、監査請求期間を徒過したことには正当な理由があると認められるから、第1次監査請求は適法である。
この点につき、被告らは、平成18年7月頃から町会やPTAなどの関係者に対する説明が行われ、渋谷区議会文教委員会においても同年8月から同年11月の間に報告が行われ、同委員会の会議録は同年10月から平成19年1月の間に区議会事務局にて閲覧可能となり、平成18年12月から平成19年4月の間に渋谷区議会ホームページ上にもアップされていたとして、「正当な理由」は認められないと主張する。
しかし、平成18年11月17日に開かれた渋谷区議会文教委員会(乙19)においてさえ、大澤庶務課長は次のように答弁している。
「行政財産の使用許可の相手方については、まだ決まっておりません。先ほどから申しておりますように、大使館とまず取り決めを結ぶことが前提です。」(8頁18行目)
「大使館と取り決めは結びます。これはお約束したいと思います。」(10頁後ろから6行目)
「渋谷区と在日トルコ大使館との取り決めによると、これが大前提だと思っております。」(11頁7行目)
すなわち、神宮前小学校施設の一部にてトルコ人学校が開設されるとしても、あくまでもトルコ大使館との取決めに基づく公的な施設利用であることを前提とした報告がなされており、民間団体に対して施設提供するものであることも、その使用料を免除することも一切報告されていない。
また、本件工事費についても、被告らは、「平成18年度当初予算に計上され、同予算は同年3月開会の第1回定例会において審議された上で議決された」と主張しているが、同予算には、ホライゾン学園に使用させるための施設工事整備費としては計上されておらず、あくまでも多目的室の改修費として計上されていたにすぎない。
この点について、平成18年10月6日の渋谷区議会文教委員会(乙18)において、柴田教育委員会事務局次長は次のように答弁している。
「予算編成、3月の際に御提示した数値の中には多目的室というものが含まれておりました。私どもは、トルコの子弟の皆さんに対する 学校がこの時点でこの中に持ち込めるという情報は十分にとらえておりませんでした。」(28頁終わりから10行目)
以上のとおり、渋谷区文教委員会の会議録によれば、平成18年11月17日の同委員会においてさえ、あくまでも渋谷区とトルコ大使館との間の取決めに基づく公的な施設利用によるトルコ人学校の開設であることが前提となっており、民間団体に無償提供することには一切言及されてない。平成18年度予算には神宮前小学校施設の改修工事費が計上されているが、民間団体に無償提供するための施設工事がなされることは一切前提とされていない。
それゆえ、原告らは、神宮前小学校施設の一部においてトルコ人学校が開設されたことは知っていたが、ホライゾン学園という民間の事業者が運営主体となっていることも、使用料免除によって無償使用していることも、その使用部分の改修工事整備費が多目的室用の改修費を流用して支出したものであることも知らなかったし、知りえなかったのである。
従って、第1次監査請求は、上記①②の事実から1年以上が経過した後になされたことに「正当な理由」が認められるから、適法である。
(2)原告らは、平成21年(行ウ)第484号事件(以下「第2次訴訟」という。)に先立ち、平成21年7月7日付け住民監査請求(以下「第2次監査請求」という。)を行い(甲42)、第2次訴訟にて、神宮前小学校施設をホライゾン学園に無償使用させたことによる平成20年7月1日から平成21年3月31日まで9ヶ月間の使用損害金を賠償請求するよう求めている。
この点につき、被告らは、上記違法使用の根拠となる財務会計上の行為は20年許可であるが、第2次監査請求は、20年許可から1年以上が経過しており住民監査請求期間を徒過しており、適法は監査請求前置を欠くと主張する。
しかし、原告らは、第2次監査請求及び第2次訴訟において、平成20年7月1日以降の使用損害金の賠償請求を求めているにすぎず、20年許可の取消を求めていない。
被告らは、原告ら住民により第1次監査請求がなされ、さらに第1次訴訟が提起され、20年許可の違法性が明らかになっているにもかかわらず、これを取り消すこともなく漫然と放置し、ホライゾン学園による神宮前小学校の違法使用を継続させた。
そこで、原告らは、ホライゾン学園による神宮前小学校施設の違法使用が平成20年7月1日以降も継続したことから、同日以降の使用損害金の賠償請求をも求めることにしたのである。
そのため、第2次訴訟に先立ち、第2次監査請求を行ったのであるが、20年許可の取消は第1次監査請求の対象となっており、第1次訴訟も係属していたのであるから、第2次監査請求において重ねてこれを求める必要はない。
原告らは、第2次監査請求において、平成20年7月1日以降の使用損害金の賠償請求を求める法的根拠として、念のため20年許可の違法性を主張して取消しを求めたにすぎない。
従って、平成20年7月1日以降の使用損害金の賠償請求権については、第2次監査請求の時点において未だ住民監査請求期間は徒過しておらず、適法は監査請求前置を欠くとの被告の主張は失当である。
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