【ホライゾン学園】神宮前国際交流学級(ホライゾン学園)事件住民訴訟は控訴!

東京地裁で請求が却下及び棄却された神宮前国際交流学級(ホライゾン学園)事件住民訴訟は、原告側(渋谷オンブズマン)は判決の一部を不服として控訴した。以下、控訴理由書である。

控 訴 理 由 書

平成25年10月8日

東京高等裁判所第8民事部C係 御中

控訴人ら訴訟代理人弁護士 本  間  久  雄

 頭書事件につき、控訴人らの控訴理由は以下のとおりである。

第1 はじめに
1 原審における本件の争点は、原判決16ページのとおりであるが、控訴審においては、控訴人らは、本案前の争点については、原判決の判断を受け入れ、渋谷区教育委員会が、平成19年度ないし平成23年度にかけてホライゾン学園等に対してなした行政財産の使用料を免除する旨の処分(以下、「本件各免除」という。)について専ら争っていくこととする。

第2 原判決の判断の不当性
1 本件各免除の違法性の判断基準について、原判決は、「(本件各免除の)裁量判断の当否に関する司法審査については、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の範囲の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものである。」(原判決70ページ)と極めて緩やかな裁量審査基準を定立している。
2 しかしながら、本件各免除の根拠となる渋谷区行政財産使用料条例5条3号は、「前各号のほか、特に必要があると認めるとき」に使用料免除が可能としているところ、同条例同条1号は、「国または地方公共団体その他公共団体において、公用または公共用に供するため使用するとき」と定め、同条例同条2号は、「既に貸し付けられた行政財産が、地震、水災、火災等の災害のため、当該財産の使用目的に供し難いと認めるとき」と定められている。1号、2号の条文を受けて、同条例同条3号は、「前各号のほか、特に必要があると認めるとき」に使用料免除が可能となるとしていること、同条例同条柱書に免除だけでなく使用料減免も規定していることに鑑みると、同条例同条3号で免除が可能となるのは、1号に対応して、被免除者の行う事業が国または公共団体が行う公用と比肩すべき高度の公共性がある場合か、2号に対応して、やむを得ない事由で行政財産の使用に重大な支障が生じた場合に限られると解すべきである。
本件各免除の違法性の有無は、結局のところ、渋谷区行政財産使用料条例5条3号の解釈問題に帰結する。行政庁に極めて広範な裁量の幅を認める原判決の判断は、使用料免除が可能となる場面を著しく限定的にしている渋谷区行政財産使用料条例5条3号の文言から明らかにかけ離れている。
使用料免除にあたって、行政庁に極めて大きな裁量を認める原判決の判断は、地方公共団体に使用料免除を濫発させ、ひいては、様々な弊害(地方公共団体の幹部と親しい関係にある者・団体に対して、情実で使用料を免除する等)を発生させることにつながりかねない。そうなった場合、地方財政法2条(地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行つてはならない。)、地方自治法2条14項(地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。)といった地方自治体の財政の健全性をうたった各種法令に反する事態となることは明白である。

第3 本件各免除は、渋谷区行政財産使用料条例5条3号に該当しないこと
1 国際交流学級は、以下のように各種法令違反がある上、使用場所、使用目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度等に照らして高度の公共性、公益性があるとはいえず、本件各免除をなすことは、渋谷区行政財産使用料条例5条3号にいうところの「前各号のほか、特に必要があると認めるとき」には到底該当しえない。
2 各種法令違反
(1)補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律違反
被控訴人区は、区立小学校である本件小学校を私立小学校の施設に転用したのであるから、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律上、文部科学大臣の承認を経た上で、国庫補助相当額を国に納付する転用手続をしなければならないところ、被控訴人区は、当該手続をせずに本件各使用許可をしたものであり、形式的な要件を満たしておらず違法である。
(2)学校教育法134条等違反
ホライゾン学園等が、本件施設でインターナショナルスクールを開設するには東京都知事の認可が必要となり、インターナショナルスクールでないとしても、被控訴人らの主張によれば、国際交流学級は、在日トルコ人子弟を中心とした児童に初等教育を授ける場というのであるから、少なくとも、学校教育法134条にいう「学校教育に類する教育を行うもの」に該当し、神奈川県知事の認可が必要となるが、いずれの認可も取得しないまま教育事業を行っており、渋谷区教育委員会は、本件施設で違法な教育施設を運営させていることになる。
(3)ホライゾン学園の寄付行為違反及び私立学校法30条違反
私立学校法上、学校法人を設立する場合には、その設立を目的とする寄付行為でその目的、名称、設立する私立学校の名称等を定めた上で、当該寄付行為について所轄庁の認可を申請しなければならず(30条)、寄付行為の変更も所轄庁の認可を受けなければ効力が生じないとされている(45条)など、寄付行為は学校法人の根本規範として極めて重要なものとして位置づけられており、寄付行為違反があった場合には、行政庁は是正を求める等の必要な措置を講じなければならない。
これを本件についてみると、被控訴人区は、ホライゾン学園の寄付行為上に直截に国際交流学級の運営について定める規定がないことについて、是正を求める等の適切な措置を講じなかっただけにとどまらず、平成20年度使用許可及び免除を通じて、積極的に寄付行為違反及び私立学校法30条違反行為に加担していたといえるから、平成20年度使用許可はホライゾン学園の寄付行為や私立学校法30条に違反する違法があると言わざるを得ない。
(4)憲法89条違反
渋谷区教育委員会が、平成21年度使用許可の名宛人としたのは、本件NPOではなく、あくまで設立準備会であり、平成21年度使用許可の時点では、NPOの設立認証を受けていなかったのであるから、「公の支配」に属しておらず、平成21年度使用許可は憲法89条に違反する。
(5)NPO法違反
平成22年度及び平成23年度使用許可を受けた本件NPOは、ホライゾン学園が私立学校法30条等に違反して違法に国際交流学級を運営していることからやむなく設立され、ホライゾン学園のために国際交流学級という私塾運営の営利事業を支援している団体であるからNPO法1条及び3条1項に違反する。
 3 使用料免除の必要性・相当性のないこと
(1)文科省は空き教室の国際交流学級への転用を予定していないこと
文部科学省は、公立小・中学校の余裕教室の活用について、平成5年4月に「余裕教室活用指針」を示し、まずは特別教室や多目的教室など学校教育活動のために活用し、さらに学校開放を支援するスペース、地域住民の学習活動のためのスペース等への転用を図るよう指導している。
しかし、国際交流学級は、私立のホライゾン学園等が運営するもので、学校教育法の「各種学校」にも該当しないのであるから、本来転用が予定されている社会教育施設等の公的施設ではなく、本来、転用が予定されてもいない。
したがって、余裕教室を活用することをもって、本件各使用許可を正当化することはできない。
(2)使用目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度が不相当であること
被控訴人区は、国際交流学級は、トルコの初等教育の場であるとか、被控訴人区が推進する国際交流事業に資するなどと主張している。
しかし、①平成20年度使用許可及び免除の名宛人である私立のホライゾン学園は、国際交流学級を「ホライゾンジャパン・インターナショナルスクール・渋谷キャンパス」と称し、自らが神奈川県内で運営する「ホライゾンジャパン・インターナショナルスクール・横浜キャンパス」と同一の運営主体であり、その運営実態も同一であることを公言しており、②平成21年度使用許可及び免除の名宛人である設立準備会、平成22年度使用許可及び免除の名宛人である設立準備会、平成22年度使用許可及び免除の名宛人である本件NPOの設立理由も、ホライゾン学園が国際交流学級の運営から離れることになったため、その存続を強く望む保護者や教職員が設立したものであって、教職員や児童、設備や備品の引継ぎ状況をみると、ホライゾン学園と実質的に同一主体といえること(なお、ホライゾン学園は、平成21年3月31日にわずか2年で国際交流学級の運営を放棄しており、そのような民間事業者を平成20年度使用許可の名宛人とした判断には、その基礎とされた重要な事実に誤認があったといわざるを得ない。)、③国際交流学級のカリキュラム、入学金、授業料(年間約200万円である。)等は全てホライゾン学園が決めており、国際交流学級のウェブサイト上にも、トルコ又はトルコ大使館が実質的な運営主体等であることは一切記載されていないこと、④そのカリキュラムも、トルコ語教育等のトルコの初等教育(放課後に選択制でトルコ語教育がされている。)などは行われておらず、多くのインターナショナルスクールと同様に、英国式カリキュラムによる英語の授業が行われているにすぎないことからすると、国際交流学級は、被控訴人区が主張するような在日トルコ人子弟の初等教育を目的としていたとも認められないし、被控訴人区の国際交流事業の一環として開設されたとも認められない(このように、使用の必要性が認められない中、桑原区長が、本件小学校の保護者や教職員等の意見を聴取するなどの手続きを踏んだり、渋谷区教育委員会等も交えて十分な検討を経ないまま、性急にトルコ大使からの個人的要請に応えたものにすぎない。)。
そうすると、国際交流学級は、公益性・公共性を欠いていた事業と言わざるを得ないし、そもそも本件小学校の「用途又は目的」は、初等義務教育のため広く等しい教育環境を提供することにあるところ(教育基本法1条、4条、学校教育法21条等)、本件施設を高額の授業料を支払える外国籍の児童のみを対象とした私塾の施設としてホライゾン学園等に使用させることは、義務教育課程の児童に対する教育的配慮に欠けるだけではなく、上記の公立小学校の理念や法令にも違反するから、本件各使用許可は、本件施設の「用途又は目的を妨げない限度」を超えたものとして、地方自治法238条の4第7項に違反するものといわざるを得ない。
また、ホライゾン学園等は、国や公共団体と同等のものとはいえず、それのみで公益性を有する者とはいえないところ、上記のとおり、国際交流学級は、外国籍の児童を対象とした高額の授業料を徴収する私塾であって、収益事業といえるから、教育財産管理規則9条7号の「公共的団体が、公用または公共用に供するために必要と認められる場合」(1号)に準ずる場合とは認められず、本件各使用許可は、同条7号に適合するものとはいえない。
そして、本件各施設を提供し、かつ、使用料を免除するという優遇政策がトルコ人に許容されるのは不平等と言わざるを得ず(憲法14条)、そのような行為が地方自治法2条2項の「地域における事務」に該当するとは到底いえない。
(3)国際交流学級に敢えて使用料免除を行ってまで本件施設を使用させる必要性は全くないこと
ア 国際交流学級では、英国のカリキュラムが採用され、英語で授業が行われていて、その実態は、インターナショナルスクールであって、トルコの義務教育・初等教育を行っていて、これを代替するものとは認められない(なお、運営主体は、平成21年度免除以降、設立準備会、本件NPOへと形式的に変更されているものの、国際交流学級の実態がインターナショナルスクールであることに変わりはない。)。
イ 被控訴人区は、国際交流学級について、被控訴人区の国際交流事業として位置づけられる被控訴人区の事業であると認識していたと主張しているが、そうであるならば、渋谷区教育委員会において、慎重かつ合理的に、運営主体を選定する必要があるところ、神奈川県において学校法人の設立認可を受けて以来3年にわたり赤字決算となっているホライゾン学園を運営主体として選定しているし(このように別事業の収支状況を勘案して使用料免除をすることにより、ホライゾン学園の別事業の赤字の補填となり、同学園に対する不当な利益供与となる。)、国際交流学級の収支状況を試算しておらず、何らの根拠のないまま、平成20年度免除をしたことになるし、設立準備会の平成21年度会計収支予算によれば、収入が大幅に増加し、黒字決算となることも見込まれたのに、平成21年度免除をしたことになる。
ウ 小学校の空き教室である本件施設をインターナショナルスクールに転用することは、各種法令や文科省の指針に反して許されないことは前述のとおりであるが、仮に、転用が許されたとしても、神宮前国際交流学級は、トルコ共和国の公教育は実施されず、トルコ人子弟も半数程度にとどまり(ウルケナン証人尋問3ページ)、授業は正課は全て英語で行われる顕著な特色のないごくありふれたインターナショナルスクールであるし(最終準備書面9ページ以下参照)、被控訴人区が国際交流事業を行いたければ、使用料を免除する必要のない財務状況のインターナショナルスクールを公募し、公募に応募してきたインターナショナルスクールの中から本件施設を使用させるインターナショナルスクールを選定し、使用料を徴求した上で本件施設の使用許可を出せばいいのである。
取り立てた特色も見られない神宮前国際交流学級に区民の貴重な財産を敢えて使用料免除で使用許可を出す必要性はどこにもない。

第4 結語
1 本件の一連の経緯を見るにつけ、何故トルコなのか、何故ホライゾン学園なのか、何故敢えて使用料を取らずに空き教室を貸す必要があるのか、という疑問が常に湧いてくる。
原判決のように、免除にあたっての行政庁の裁量を極めて大きくとり、本件に使用料免除が認められてしまうならば、全国各地で首長の情実による行政財産の貸し付け、情実による使用料免除といった事態が頻発しかねない。
2 住民の手によって 地方公共団体の財政の腐敗防止を図り、住民全体の利益を確保することを目的とする住民訴訟の趣旨(最高裁昭和53年3月30日判決参照)に鑑み、直ちに原判決を破棄し、控訴人らの請求を認められたい。

以 上
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